ナイキ、水を使わない染色技術を採用

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(Photo by joseanprado)

環境負荷削減に力を入れるスポーツウェアブランドのナイキが、水を使わない染色技術を開発したオランダのダイ・コー社と長期戦略提携したことを発表しました。

ダイ・コー社が開発したのは、超臨界二酸化炭素を使う染色技術。
水も助剤も使わず、乾燥も不要、エネルギー使用量を削減でき、そのうえ使用した二酸化炭素を再利用できるというもの。

超臨界二酸化炭素とは、臨界点以上の温度と圧力下においた二酸化炭素のこと。
気体と液体の中間のような状態で、気体のような拡散性と、液体のような密度を持ちます。
コーヒーの脱カフェインや、天然香料の抽出、CO2ドライクリーニングなどにも使用されています。

染色方法は、以下のとおり。
繊維の入った機械に染料と二酸化炭素を入れ、温度と圧力を上げて超臨界状態にします。
超臨界二酸化炭素は、液体のように密度が高いので合成物を分解しやすく、繊維に付くと膨張剤のような働きをするので、 染料が繊維の分子内部まで深く浸透します。
その後、再び温度と圧力を調整すると、二酸化炭素と染料が分離し、染料は繊維内に残り、二酸化炭素は気体となって回収されます(回収率95%)。
余分な染料はあまり出ませんが、多少の落ちた染料は沈殿し、二酸化炭素とは別に回収することができます。

水を使用しない染色技術を商業利用可能なレベルで実現したのは、同社が世界初。
現状ではポリエステルのみ利用可能ですが、その他化学繊維や天然繊維にも対応できる技術を開発中です。

染色は、環境負荷がとても高い工程。
繊維が服になるまでの過程で、エネルギーの75%、化学薬品の65%、水の85%が染色工程で消費されます(グリーンファッションより)。
また、ナイキによると、一般的な染色方法では、1kgの繊維を染めるのに100-150リットルの水を必要とし、年間のポリエステル繊維の染色量は2015年までに3,900万トンになると予測されているそう。

たとえ素材にオーガニックコットンやリサイクルポリエステルなどを使っても、染色時に大量の水や有害な化学物質を使用すれば、サステナブルとはいえません。

水を使わないこの染色技術を使えば、通常の染色には欠かせない廃水処理や乾燥作業が不要となるため、エネルギー消費量が削減でき、水の汚染も防げます。

この技術で染色したナイキ商品は、今年後半に発表される予定。
ロンドンオリンピックの時期に合わせて、発表される可能性もあるそうです。

Nike
ウエブサイト:http://www.nike.com/

DyeCoo
ウエブサイト:http://www.dyecoo.com/

2012/02/08

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