エコ認証団体が後援する、
ニューヨーク国際レストラン・フードサービスショー
2月27日-3月1日に開催された、レストラン・フードサービス関係者向けの展示会、ニューヨーク国際レストラン・フードサービスショー。
グリーンレストラン認証を発行するグリーンレストラン協会が後援し、どの企業のどの製品が何ポイント獲得して認証を得ているのかという情報をまとめた「グリーン・プロダクトガイド」を発行するなど、サステナビリティに力を入れている展示会です。
認証を得ている製品は、エコ清掃サービスから、エネルギー効率の高い内装品、環境負荷の低い素材で作られた容器包装、有害物質を使用していないキャンドル、オーガニックコットン製コック帽、リサイクル素材製メニューカバーまで、レストランやフードサービス運営に必要なものがすべて揃っています。
特に目立ったのは容器包装。
グリーンレストラン以外の認証を得ているものもありますが、出展している容器包装メーカーのほとんどが、環境配慮型のパッケージを扱っていました。
なかでも、エコなだけでなくイノベーティブでかっこいい、ファストフード用パッケージを紹介していたのが、グリーンダストリーズ。
バーガー用とポテト用の2種類があり、どちらも100%リサイクル紙を使用し、プリーツ加工を施した、これまでにない斬新なスタイル。
バーガー用の"プリーツパック"は、側面からクルクル巻けば簡単に包装できるうえ、食べるときに中身がこぼれません。
そのうえ、バーガーと一体化しているので、一般のバーガー用パッケージのように、剥がした紙が広がって、紙に付いていたケチャップが服に付いてしまうなんてこともありません。
ポテト用の"マジックバッグ"は、底の部分を引っ張るとプリーツが伸びて台形型になるので、車内など安定しない場所でも、パッケージを立てて食べることができます。
改めて考えると不思議ですが、一般的なポテト用の包装にはなぜか底がないので、ポテトを寝かせるしかなく、下に紙を敷いたりと面倒なうえに余分な資源を必要とします。
マジックバッグなら、そんな煩わしさから解放されますし、上部を両方向に引っ張れば、接着部分がきれいに剥がれて紙皿のようにになり、とても便利。
同社によると、北米と欧州と太平洋諸国で使われている一般的なバーガー・ポテト用包装をグリーンダストリーの包装に変えると、年に348万メートルトンの二酸化炭素・二酸化硫黄・窒素酸化物、1,100億リッターの水、2,416万3,600本の木、14億5,000万リッターの石油、1,475万キュービックフィート分の埋立ゴミ145万880メートルトンの紙、を削減できるのだそう。
なんだかすごい数字ですが、これが実現したらかなりの環境負荷が削減できそうです。
あくまでも使い捨てが前提のファストフードのパッケージは、真に環境にやさしいとはいえませんが、少しずつでも今より環境負荷を削減できるならば、それに越したことはありません。
サステナブル家具議会のメンバーでもあるニューヨークの家具メーカー、フロム・ザ・ソースは、リサイクル・ビンテージ・サルベージの木材、もしくはきちんと管理された森林の木材を使い、インドネシアの職人によりハンドメイドで家具を作っています。
チェルシーにはショールームもあり、一般の住居向け家具も販売していますが、レストランやオフィス用のカスタムメイド、イベント用レンタルも積極的に行っています。
飽きのこない美しいデザインで、リサイクル素材を使用し、手作業で大切に作られている、サステナブルなフロム・ザ・ソースの家具。
こんな素敵な家具がレストランやカフェに置かれていたら、つい長居してしまいそうです。
地産地消を促進する非営利団体"プライド・オブ・ニューヨーク"からは、会員であるニューヨークの農家が多数出展。
ニューヨークで作られたものをニューヨークで食すのが、最もおいしく、最もサステナブル。
そんな思いが広がり、プライド・オブ・ニューヨークには、農家だけでなく、ニューヨークで作られた食物を積極的に使うレストランや小売店が多数参加しています。
ニューヨークは都会という印象がありますが、マンハッタンから少し離れれば、森や農場がたくさんあり、野菜や肉、乳製品だけでなく、メープルシロップやハチミツ、パスタも作られています。
南国フルーツが食べたいなんて贅沢を言わなければ、ニューヨークでは簡単に地産地消が実現できるのです。
「食」は私たちにとって、なくてはならない存在。
いつか環境汚染がさらに悪化して、服や家電など贅沢品の生産・消費が制限・禁止されるようなことが起こっても、食品だけは、作り、消費し続けなければ生きていけません。
だからこそ、真っ先ににサステナブルにならなければならない業界なのです。
国際イベントでありながら、ニューヨークのローカル出展・来場者も多く、地域みんなで力を合わせてサステナブルな食文化を作り上げようという意気込みが至るところで感じられる、ニューヨーク国際レストラン・フードサービスショー。
トレードオンリーの展示会なので一般の方は入れませんが、レストラン・フードビジネス業界の方はぜひ訪れてみてください。
International Restaurant and FoodService Show of New York
ウエブサイト:http://www.internationalrestaurantny.com/
2011/03/05