ローカルブームのアメリカ、
ファーマーズマーケット数が急増
全米のファーマーズマーケット数が昨年より9.6%増加し、7,864拠点となったことを、米農務省が発表しました。
それもそのはず、アメリカは今、ローカルブーム。
大量の温室効果ガスを排出して地球の裏側から配送される海外産の製品より、地元で作られた製品の方が、環境にやさしい。
高い配送コストの分しわ寄せを受けるのは途上国の生産者、暴利を貪る先進国の大企業 - ローカル製品の購入はこうした構造を変える力になる。
地元の生産者を支えることで、アメリカ国内の失業率削減に貢献できる。
食品に関しては、広大な土地で単一作物を大量に栽培するモノカルチャーより、地元の小さな農家による多品種少量栽培の方が、環境・社会的メリットが多い。
そしてなにより、十分熟す前に収獲され店頭や家庭の冷蔵庫の中で熟すのを待つ海外産の野菜や果物より、一番良いタイミングで収獲した採れたての新鮮野菜や果物の方が、ダンゼンおいしい。
だから、ローカル製品(概ね100マイル=160km圏内)を支持し、ファーマーズマーケットで購入する。
こうした考えのもと、ローカル製品を愛好する人が急増中。
彼らを指す「ロカボア」ということばもあるほど。
ローカルの問題点
ただし、あまりにローカルに傾倒し過ぎると、逆に環境や社会によくない、という批判の声も。
環境面では、海外産と地元産の負荷を輸送距離(フードマイル)のみで比較するロカボアが多いのに対し、実際はトラックと船など輸送方法により負荷が異なり、無理に地元で生産するより製品ごとに適した場所で生産する方が負荷が少ないという研究結果もあるので、一概にローカルが良いとは限らないとする批判派。
社会面では、地元の生産者を優先するあまり、途上国の貧しい人々の職を奪うことになり、世界全体を見れば良い結果にならないという指摘も。
どちらの主張も正しいのでしょうし、どんなことであれ、偏り過ぎるとバランスを崩すもの。
できる限りローカル産を支持し、関心のある諸問題の解決に繋がるのであれば海外産を選ぶ、というように柔軟に対応するのが良いのではないでしょうか。
農務省によると、ファーマーズマーケットの増加率が高いのは、主に東部(ミッドアトランティック15.8%、北東部14.4%、南東部13.1%)。
数が多い州は、カリフォルニア(827)、ニューヨーク(647)、マサチューセッツ(313)、ミシガン(311)、ウィスコンシン(298)、イリノイ(292)、オハイオ(264)、ペンシルバニア(254)、バージニア・アイオワ(227)、ノースカロライナ(202)と、11州で半数を占めているそう。
カリフォルニアとニューヨークが圧倒的に多いのは、都市部の問題意識の高さに起因しているのかもしれません。
いずれにしても、ファーマーズマーケットの数が増えているということは、製品の生産過程を考えて製品を購入する人が増えている証拠でしょう。
USDA
ウエブサイト:http://www.usda.gov/
2012/08/09