ニューヨーク、ゴミのリサイクル強化
ニューヨークは今、ゴミのリサイクルプログラムを強化中。
ひとつは、プラスチックのリサイクル。
これまで市が回収・リサイクルしていたプラスチックは、ペットボトルなどに使われるポリエチレン・テレフタレート(PET)と、洗剤やシャンプーなどの容器に使われる高密度ポリエチレン(HDPE)の製品のみ。
ただし、PETやHDPEであっても、テイクアウト用の容器や使い捨てスプーンなど、ボトル以外のものは回収していませんでした。
その理由は、この2種類以外のプラスチックを溶解する施設が市内になく、同じ種類のプラスチックでも成形方法が異なるものは一緒に処理できなかったから。
市内で処理できないものを回収しても、転売先を探さなければならず、見つからなければ結局ゴミとして処分しなければなりません。
何でも回収して、まとめて海外に転売したり、リサイクルできないものを廃棄する自治体もあるようですが、ニューヨークは不要な作業とコストを省くため、市内で処理でき、市場性のあるものしか回収していなかったのです。
ところが先月、ブルックリンのサンセットパークに北米最大のリサイクル施設がオープン。
これにより、容器でもカトラリーでもおもちゃでも、堅いプラスチック製品なら種類を問わず、回収・リサイクル可能に。
ただし、レジ袋や歯磨き粉の容器など軟らかいプラスチックは、この最新施設でもリサイクルできないため、回収しません。
既に新基準での回収は始めていますが、本格施行は7月から。
これによるゴミ削減効果は、年5万トン。
その輸送費60万ドルのコスト削減も期待できるのだそう。
そのうえ、リサイクル処理に必要な電力は、施設の屋上に設置された市内最大規模のソーラーパネルから供給されるとのこと。
さらに、市は食品残渣の回収・堆肥化プログラムも本格開始。
先行しているブルックリンとマンハッタンの公立校では、既に38%のゴミ削減効果を上げていますが、今月からスタテン島の一部地域の住宅で食品残渣の回収をスタート。
秋からはその他地域に拡張し、今後2年間で市内の全公立校で行う予定だそう。
レストラン業界も、この動きに賛同。
食品残渣の50%削減を約束する「フードウエイスト・チャレンジ(食品残渣への挑戦)」に、100以上の有名レストランが参画。
参加を表明しているのは、バボやデルポストなど、有名シェフ、マリオ・バタリが手掛けるレストラン、ユニオンスクエアカフェやシェイクシャックなど、凄腕レストラン経営者ダニーマイヤー率いるユニオンスクエア・ホスピタリティグループ傘下のレストラン、アジアンなら右に出る者はないモモフクグループのレストラン、メキシカンファストフードのチポレなど、そうそうたる顔ぶれ。
プログラムに参加するレストランは、現在廃棄している食品残渣量を計り、その後どれだけ削減したかを定期的に測量。
市は、測量方法や従業員向けのトレーニング、堆肥化の方法など、レストラン向けの食品残渣削減ツールキットを開発する予定だそう。
食べ物は、土から作られ、肥料として土に還る、貴重な資源。
ゴミとして輸送したり、埋め立てたり、燃やしたりする必要はないのです。
そもそも、レストランや食料品店はともかく、家庭では、必要な分だけ購入すれば、食品残渣を限りなく減らせるはず。
安いからと大量に買い置きしたり、作り過ぎて腐らせてしまうことのないよう、日々の心掛けが大切です。
そして、住んでいる地域の自治体が、ゴミ回収後にどう処理しているかを知り、実際にリサイクルされていない種類のプラスチックはなるべく使わないよう努めるのも重要なこと。
国や自治体や企業の責任を問うことも必要ですが、循環型社会実現の一翼を担うため、まずは自分の生活を見直してみませんか。
New York City
ウエブサイト:http://www.nyc.gov
2013/05/08