LEED グリーンビルディング認証

Green Building

環境も人間も健康でいられるように設計・建築・運営された建物、グリーンビルディング。

米環境保護庁は、グリーンビルディングを以下のように定義しています(EPA)。

「立地、設計、建築、運営、メンテナンス、改装、解体まで、建物のライフサイクル全体を通して、環境に責任のある、資源効率の高い仕組みや方法を用いた建物。」

もう少し具体的にいうと、グリーンビルとは、「エネルギー、水、その他資源を効果的に使い、廃棄物や汚染・環境劣化を削減し、居住者やビル内で働く人の健康と生産性を高めることにより、環境や人体への負荷を削減するよう設計された建物」のこと(EPA)。

商業ビルでも住居ビルでも、新築でも中古でも、基準を満たせばグリーンビルとみなされます。

グリーンビルディングと名乗ることができるのは、LEED(リード:The Leadership in Energy and Environmental Design)認証を得た建物のみ。

LEEDは、USグリーンビルディングカウンシルというNPOが管理する認証システム。
当初は、新築と中古改築用の認証のみでしたが、現在では、新築、中古(運営・メンテナンス)、商業ビル内装、コア&シェル(構造躯体のみ、内装はテナントが行うスケルトン渡しのこと)、学校、小売店舗、医療機関、住居、地域開発と、さまざまなカテゴリに分かれています。

認証基準はカテゴリごとに異なりますが、基礎前提条件を満たし、以下の評価項目から規定ポイント数を獲得すれば、認証を得ることができます(カッコ内の数字は、新築ビルの必須獲得点、8と9は住居のみ対象)。(USGBC)

  1. 持続可能な立地(26ポイント)
  2. 水効率(10ポイント)
  3. エネルギー(35ポイント)
  4. 資材&資源(14ポイント)
  5. 屋内環境品質(15ポイント)
  6. デザインの革新性(6ポイント)
  7. 地域優位性(4ポイント)
  8. 場所&地域連携
  9. 啓蒙&教育

満点は110点ですが(住居のみ136点)、40-49ポイントで認証獲得、それ以上になると、以下のように格付けされます。

  • 認証:40-49ポイント
  • シルバー:50-59ポイント
  • ゴールド:60-79ポイント
  • プラチナ:80ポイント以上

カテゴリと評価項目ごとに、詳細な規定が設けられています。
たとえば、”新築”カテゴリの”持続可能な立地”項目では、公共交通機関へのアクセスが良い場合は1ポイント、汚染などで使われなくなった場所を再開発している場合は1ポイント、緑地を最大限に活用している場合は1ポイント、というように、基準をクリアするごとにポイントが得られる仕組みです。

2011年末の時点で、LEED認証を獲得した商業建築は11,363、申請中は32,773、認証獲得済の住宅は16,194、申請中は69,873もあります(USFBC)。

建築物は、アメリカのCO2排出量の約39%、エネルギー消費量の40%、水消費量の13%を占める、環境負荷の高い存在。
こうした環境負荷を削減できるうえ、光熱費などの運営コストが削減でき、居住者の健康にも良い影響があるため、グリーンビルディングの建築・改装が急増しています。

自治体も、LEED認証の導入に積極的。
ニューヨーク市では、2005年から施行されている「グリーンビルディング法」という法律により、市が関連する建築プロジェクトで建築コストが200万ドル以上のものは、LEED認証取得が必須条件となっています(Local Law 86/2005)

Solaire

マンハッタンの南端バッテリーパーク地域にある27階建て住居ビル「ソレイア」(上記写真)は、ニューヨークで最初にLEED認証を受けたビル。
アメリカで最初にLEED認証を受けた大型住居ビルでもあります。

ゴールドの格付けを持つソレイアは、さまざまな方法で環境負荷に取り組んでいます。
水効率に関しては、雨水やビル内の排水を自家装置で浄化し、トイレの洗浄水やエアコン用に再利用。
キッチンシンクや便器、シャワーヘッドなどは、一般のものより50%省水設計のものを採用しています。
エネルギー効率では、ソーラーシステムを完備してマンション内で自家発電しているほか、外出時の電気消し忘れ防止のため玄関脇のマスタースイッチひとつで家中の電気が消えるシステムにするなど、細かいところまで配慮。
ルーフトップガーデンでは、農薬未使用、省水設計の散水システムを使用しています。

バッテリーパーク地域には、ソレイアのようなグリーンビルがたくさんありますが、通常のビルより家賃が高いにも関わらず入居希望者が絶えないのだそう。

グリーンビルディングは、2005年から10年の5年間で6倍も増加し、新築商業ビルでは2015年までに市場の48%を占めることが予測されています(McGraw-Hill Construction)。

すべての建物が環境に優しいグリーンビルになる日は、そう遠くはないのかもしれません。

Grren Building Counsil/LEED
http://www.usgbc.org/

Solaire
http://www.thesolaire.com/

2012/02/06 訂正
2008/02/23

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