小学生が導入した、
ニューヨーク市初の学校屋上の風力発電

UGE Wind Turbine NYC
(Photo courtesy of Urban Green Energy Inc.)

マンハッタンの高級住宅街、アッパーイーストにある小学校"タウンスクール"に、ニューヨーク市の学校で初となる風力発電機が設置されました。

設置された風力発電機は、同校の2009年卒業生が資金を集めて購入したもの。

タウンスクールが市に設置許可を申請したのは、3年前。
高層ビルが密集し、そのうえ観光都市でもあるニューヨーク市では、安全性と景観の問題から、ビル屋上に風力発電機を設置するのは簡単なことではありません。
09年4月に導入されたブルックリン・ネイビーヤードの風力発電が、市内初の事例。
その後、タウンスクールでもようやく設置許可が下り、今週初めに稼働祝賀式典が行われました。
式典には3年越しの悲願を達成した卒業生や現役生徒らが集まり、マイケル・ブルームバーグ市長がスイッチを入れました。

導入した風力発電1機が生み出す電力は、1キロワット。
学校全体で消費される電力のごく一部でしかありませんが、サステナビリティを教育指針のひとつに掲げるタウンスクールにとっては、念願の風力エネルギー。

同校のサステナビリティ・コーディネータであるヒギンス氏は、次のように語っています。

「"次世代のニーズを損なうことなく、現代の人々のニーズを満たす"ことを教えるサステナビリティ教育は、タウンスクールの重要な使命です。
我が校が屋上への風力発電機設置を行ったニューヨーク市で最初の学校となり、感動しています。
生徒たちにサステナブルな未来を築く手段や教育を与えるために共に取り組んでくれている他校や地域の人々に、マンハッタンの景観に新たに加わったこの風力発電機が良い影響を与えられるよう願っています。」

タウンスクールは、気候変動をはじめとする環境問題に取り組む幼稚園から高校までの学校連合「グリーン・スクール・アライアンス」の会員校。
学校のカリキュラム全体にサステナビリティを取り入れているほか、給食用食材を地元農家から仕入れ、校内で栽培されている植物やハーブ用肥料として堆肥作りを行うなど、環境負荷削減に向けてさまざまな活動を行っています。

08年の卒業生は、1万ドルの資金を集め、28機のソーラーパネル(6キロワット分)を設置。
年間6,760万ドル分の電力を生み出しています。
そのうえ、州からのリベートもあり、たった1年で投入資金を回収しています。

今回タウンスクールが採用したのは、アーバン・グリーン・エナジー社が開発した"エディーGT"という水平・垂直両軸の小型風力発電機。
クールなデザインと静音設計で、ニューヨークの街並みに馴染んでいます。

小学生が3年かけて実現した、風力エネルギーの導入。
サステナブルな未来の実現に、一歩近づいたといえるのかもしれません。

The Town School
ウエブサイト:http://www.thetownschool.org

Green School Alliance
ウエブサイト:http://www.greenschoolsalliance.org

Urban Green Energy
ウエブサイト:http://www.urbangreenenergy.com

2012/06/15
(2012/12/13 改正)

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