ウォルマート、化学物質の使用規制を発表

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(Photo courtesy of Wal-Mart Stores, Inc.)

世界最大の小売企業ウォルマートが、サプライヤーに対し、危険な化学物質の使用を規制することを発表しました。

対象となるカテゴリは、掃除用品、パーソナルケア用品、化粧品。
規制対象の化学物質名は明らかにしていないものの、優先度の高い10ほどの物質とのこと。
物質名を明らかにしない理由は、サプライヤーに過度な負担をかけないためだそう。

恐らく、ホルムアルデヒドやトリクロサンなど、危険性が論じられている物質が対象になると思われますが、今後も調査を続け、優先度の高い物質があれば随時追加していくそうです。

同社は、直ちにこれら10物質を禁止するわけではなく、長期的な目標を設定し、徐々に使用を削減・排除するよう求めています。

既にサプライヤーは同社の社内ソフトウェア上で原料を開示していますが、2014年1月からは、10物質に対する削減努力状況を同社が監視することに。
2015年1月には、同社で販売する商品の原料を、各社のウエブサイト上で公開するよう要請。
2016年1月には、10物質の削減努力状況を一般公開。
2018年1月になっても、これら物質を使用している場合は、商品の容器包装に使用原料を明記しなければならない、としています。

ウォルマートだから意味がある

化学物質の使用を規制している小売企業は、同社だけではありません。

米最大のオーガニックスーパー、ホールフーズは、以前から危険な化学物質の使用規制を行い、安全性を評価分類して消費者にわかりやすいよう表示しています(詳細はこちら)。

これに比べれば、ウォルマートの対策は遅く甘いといえるでしょう。

しかし、世界最大の小売企業である同社が、こうした規制を行うことによる影響力は甚大です。

まず、扱う商品の量が膨大です。
たった一社であっても、同社が規制するだけで、相当量の有害物質が排除されることになるでしょう。

また、ウォルマートに卸す商品は安くなければなりませんから、メーカーは代替物質を使用してなんとか安価に作る方法を考えるはずです。
安価で安全な代替商品が開発されれば、敢えて他社向けに有害物質を使用した製品を作る必要はなくなりますから、市場全体で有害物質の使用量が激減するでしょう。
それ以前に、競合他社がウォルマート社に対抗して、同様の規制を行う可能性もあります。

大企業は、その影響力によって社会を良くも悪くもできますが、化学物質に関して、同社は良い形で影響力を行使したといえるでしょう。

問題の本質

しかし、本当に、安く安全な代替製品を作ることができるかは、疑問です。

ある物質が人体に有害であることが判明したからといって、安易に代替物質に流れれば、別の問題が発生しかねません。
たとえその代替物質自体が人体に悪くなくても、広く普及することで、環境全体に悪い影響を及ぼすかもしれません。

そもそも、メーカーが有害な物質を使用するようになったのは、同社をはじめとする小売企業から、少しでも安くするようプレッシャーがあったからかもしれません。

有害物質の使用規制をしたことは有意義ですが、同社が必要以上に安く大量に商品を販売している限り、どこかで歪みが生まれてしまうのではないでしょうか。

また、今回同社が規制対象としている、掃除用品、パーソナルケア用品、化粧品は、私たちの生活に本当に必要なものなのでしょうか。

化粧品で仮の姿を装うよりも、人は素のままが一番美しいのではないでしょうか。

抗菌を気にするあまり、私たちは菌に対する耐性の弱い体質になっているのではないでしょうか。

良い香りのするウェットティッシュを使うより、ティッシュに水をつけてぬらした方が、体にも環境にもやさしいのではないでしょうか。

企業に対して不満を言ったり責任を追及する以前に、私たち自身の行動と生活を見直す必要があるのかもしれません。
ウォルマートが少しでも安いもの、便利なものを、大量に販売しようとするのは、それを欲する人がたくさんいるからでしょう。

いきなり生活スタイルを大きく変えることは難しいですが、まずは余計な機能や成分の入っていないシンプルな製品のみを使う、製品が作られた背景を考えて購入する、といった小さな努力から、はじめてみませんか。

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ウエブサイト:http://www.walmart.com/

2013/09/14

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