ボディケア用品・化粧品の成分

Bodycare Label

ボディケア用品や化粧品には、さまざまな化学物質が使われています。

にもかかわらず、アメリカでは、着色料などごく一部を除き、化粧品の成分に関する規制がありません。
食品・医薬品・化粧品法という法律はありますが、1938年に作られて以降変更されておらず、使用原料等は化粧品会社の判断に委ねられています。
つまり、実質的に、化粧品会社はどんな成分を使っても良いことになっているのです。(FDA)

これを懸念した議員たちが、2011年に安全化粧品法という法案を提出しましたが、まだ可決には至っていません。
同法案では、発がん性物質や出生異常・発育障害の可能性のある危険な物質の段階的廃止、全成分の開示、などの規制が盛り込まれています。
この法案が可決するまでは、消費者は自分で自分の身を守らなければなりません。

以下、よく使われているけれども危険性が高いとされる物質、話題になっている物質を、いくつかご紹介します。

パラベン Parabens

シャンプー、リンス、ジェル、ローション、日焼け止め、化粧品などに保存料として使われる物質。
微生物の成長を抑制する働きをします。
いくつか種類がありますが、ブチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベンが最もよく使われています。
パラベンは、人体への安全性が疑問視されている物質。
乳がん細胞内に高い比率で検出されたとする研究結果が出たり、女性ホルモンのエストロゲンと似たような働きをする性質があるため、ホルモンかく乱作用をする可能性が示唆されています。
発ガン性物質の認定を得られるほどの研究結果は揃っていないようですが、米食品医薬品局は今後も調査を続けるとしています(FDA)。

ラウリル(ラウレス)硫酸ナトリウム
Sodium Lauryl (or Laureth) Sulfate


シャンプーや洗顔料、ヘアカラーなどに使われる、洗剤の泡を形成する物質。
刺激物質なので、肌がヒリヒリすることがあります。
発ガン性物質の疑いが持たれたことがありますが、それを証明する研究データはなく、米国ガン協会などはこれを一切否定しています(American Cancer Society)。
ただし、生産時に発ガン性物質の可能性が高い1,4-ジオキサンに汚染される可能性があるため、注意が必要です(Safe Cosmetics)。

ペトローラタム
Petrolatum

リップクリーム、ヘアジェル、かゆみ止めなどに、保湿剤や柔軟剤として使われる物質。
欧州では、発がん性物質の多環式芳香族炭化水素を含む可能性があるとして、発ガン性でないことを証明しない限り、化粧品への使用は認めていません(European Commision)。
また、石油由来の物質ゆえ性分解しないため、自然由来のものに比べて環境負荷が高いとする意見もあります。
ただし、自然由来の物質が必ずしも石油由来の物質よりも人体に良いとは限りません。

プロピレン・グリコール
Propylene Glycol

洗顔料、シャンプー、リンス、デオドラント製品などに、保湿剤として使用される物質。
米食品医薬品局より安全食品認定を得ている物質で、低量であれば人体への安全性に問題はないとされています(環境有害物質・特定疾病対策庁)。
短期間に大量摂取すると危険なため、同物質の使用を懸念する声が高まったことがありますが、常識的な範囲内で食品や化粧品などから摂取する分には、問題ないとされています(環境有害物質・特定疾病対策庁)。

ベンゾフェノン2 Benzophenone-2


紫外線を吸収する物質で、日焼け止めに配合されています。
アメリカや欧州、日本などでは、紫外線吸収剤として使用可能な物質が政府により定められていますが、アメリカではベンゾフェノン2の使用は認められていません(FDA)。
ベンゾフェノン2は、ホルモンかく乱作用の疑いがあるとする研究結果もあります(SkinDeep)。

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どんなに優秀な科学者や医者でも、化学物質が人体に及ぼす影響をすべて把握できるわけではありません。
自然由来の物質でも、絶対安全というわけではありません。
一方で、不安を煽る根拠のない噂も後を絶ちません。

消費者が判断できることは限られますが、必要ない化粧品やボディケア用品をできる限り使わない・買わないこと、成分数の少ない製品や認証を得ている製品などを選ぶことで、少しでもリスクを削減できるでしょう。

2012/02/10 訂正
2008/04/03

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