ニューヨーク市、悲願のレジ袋有料化なるか

plastic bag
(photo by sally from flickr)

世界中の多くの都市で既にレジ袋が規制・禁止されていますが、ようやくニューヨークでもレジ袋の有料化案が提出されました。

といっても、ニューヨークのレジ袋規制案は、これが初めてではありません。

2008年1月には、大型チェーン店に対し、店内へのレジ袋専用回収箱の設置と、レジ袋にリサイクルを促す文言を入れることが義務付けられています。

さらに同年11月には、レストランや小売店に対し、ビニールのレジ袋一枚につき5セントを課税する法案を、ブルームバーグ市長が提出。
ところが、その後この法案は、小売店や市民の強力な反対により、州議会で否決されています。

この失敗を受け、その後、環境団体や市議が店やレストランと協議。
その結果を反映する形で、今回新たな法案が提出されました。

新法案は、レストランを除く市内全ての店が対象で、ビニール袋であれ、紙袋であれ、レジ袋一枚につき10セント(約9円)を客から徴収するというもの。
ただし、徴収した10セントは、税金として市に支払うのではなく、店側の収益となります。

税金として徴収しない理由は、税に関する法案は州議会での可決が必要になるため。
資金難に喘ぐ市としては、税収は喉から手が出るほど欲しいはずですが、前回の失敗から、市議会のみで決議できるよう、店の収益としたのです。

また、今回の法案で紙袋も対象にしたのは、ビニール袋のみが対象だと、より高価な紙袋を代わりに無料で提供しなければならなくなるのではと、店側が懸念したため。

新法案では、レストランとフードスタンプ(生活保護者向けの食料補助券)使用者が対象から外れていますが、これは、テイクアウト用のマイバッグを持ち歩く人が少ないことや、低所得者層の負担を削減するためと見られます。

しかし、これだけ考え抜かれた法案でも、反対する企業は後を絶ちません。

10セントの徴収を嫌がる顧客が他都市の店に流れる可能性を懸念する店主や、レジ袋よりマイバッグの方が製造時の環境負荷が高いと主張するビニール袋協会。

その一方で、ホールフーズやイケアなど、自主的にビニールのレジ袋を廃止する、意識の高い企業も(詳細はこちら)。

市民レベルでは、レジ袋をゴミ袋として使用する人が多い日本と異なり、アメリカでは家庭でも大きなゴミ箱を使用する人が多く(これ自体が問題ですが)、それに合う大きなゴミ袋を購入しているため、そのことを理由に規制に反対する人は少ないようです。

しかし、どんなことであれ規制を嫌う人が多い、"自由の国"アメリカ。
リーズン財団の調べでは、政府によるレジ袋規制に反対する人が全米で60%以上もいるそう(リーズン財団)。

現在、この新法案を支持している市議は12名ほど。
26の賛成票が集まれば可決されますが、どういう結果が出るかはわかりません。

レジ袋が市場に登場してから、40年以上。
無料でもらうことが当たり前のようになってしまいましたが、実際にはコストを負担しているのは店側で、それを商品代に上乗せしていることがほとんど。

そして、レジ袋による環境コストは測り知れません。

レジ袋は、作るにも入手するにも処理するにもコストがかかっていることを知り、そのコストを目に見える形で市民自身が負担するようになれば、必要以上に使うことはなくなるでしょう。

他都市では、規制・禁止後、レジ袋使用率が60-90%削減したという調査結果もあるほど(ブラッド・ランダー市議)。

ニューヨーク市の悲願でもあるこの法案、決議が出るのは今年中の予定です。

New York City Council
ウエブサイト:http://legistar.council.nyc.gov/

2013/08/28

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