有害だけど美しいブルーラグーン、
黒い染料でわざと醜くしてしまったイギリスの町
(Photo by Colin Day)
イギリス・ダービシャー州の採石場跡地にある、ターコイズカラーの美しいブルーラグーン。
こんな美しいラグーンを見たら、つい泳ぎたくなってしまうのが、人間の性。
ところがこのラグーン、産業廃棄物や動物の死骸、糞便などにより汚染され、pHが高濃度になっているため、触れると、肌や目のかゆみ、胃の病気、細菌感染などが起こる危険性があるのだそう。
もちろん、畔には「危険」「入るな」「高濃度pH」と書かれた看板が立っているのですが、その美しさに抗えず、多くの人が飛び込んだり泳いだりしてしまうそう。
これを懸念して、町議会が対策を検討。
そこで出た結論は、なんと、黒い染料を流し込み、人々が入りたくなくなるようにする、というもの。
これにより、美しいラグーンが、見るも無残な、黒々とした醜い水溜りに(写真はこちら)。
泳ぐ人はいなくなったものの、美しい景観は消失。
私有地のため、立入禁止にできなかったそうですが、黒い染料を入れるくらいなら、所有者と話し合い、汚染浄化のための補助金を提供して新たな観光スポットにするなど、建設的な解決策を提示することはできなかったのでしょうか。
そのままの状態で放置すれば、いずれ汚染物質が地下水に達し、地域の飲料水にも影響を及ぼすことになるでしょう。
小さな町で起こった、この小さな出来事。
まるで、現代社会の愚かな仕組みを象徴しているように思えませんか。
農薬や殺虫剤を使用した農業で土壌を汚染し、作物が育ちにくい環境にしてしまったり、医薬品や化学物質の濫用で水を汚染し、飲み水が不足したり、添加物の濫用によりアレルギー体質の人が増えたりと、不毛な慣習が横行している現代社会。
臭いものにフタをして、何事もなかったかのように振舞うのではなく、問題を直視し、原因の元を断たなければ、より良い社会にはならないのではないでしょうか。
BBC News
ウエブサイト:http://www.bbc.co.uk/
High Peak Borough Council
ウエブサイト:http://www.highpeak.gov.uk
2013/07/29