利用する?しない?
H&Mがこの春展開する、
ふたつのグリーンな取り組み

HM 2016Spring
(Photos courtesy of H&M)

ファストファッションでありながら環境負荷削減を目指すH&Mが、この春ふたつのグリーンな取り組みを展開します。

ひとつは、毎年恒例となった、エコ素材で作るパーティウエア「コンシャス・エクスクルーシブ・コレクション」。

今年は、同社がスポンサーを務める、パリ装飾芸術美術館の新エグジビション「ファッション・フォワード:ファッションの3世紀」の開催に合わせて、過去3世紀のオートクチュールファッションにインスパイヤされたアイテムを投入。

ウエディングドレスから、刺繍やプリントが美しいロング・ショートドレス、春色のトップスやボトムス、ビーズやラインストーン使いのバッグやシューズなど、パーティに使えるゴージャスアイテムが勢ぞろい。

使っている素材は、オーガニックシルク、ヘンプ、リサイクルリネン、テンセル、古いデニムをリサイクルして作った繊維、リサイクルガラスから作ったビーズやラインストーンなど、環境に配慮したもののみ。

エグジビションのオープニングと同日の4月7日から、世界180店舗で同時発売の予定です。

HM 2016 spring recycle

もうひとつは、ミュージシャンのM.I.A.とのコラボによる「ワールド・リサイクル・ウィーク」。

4月18日から24日までの1週間に、世界3,600店舗で1,000トンの古着を回収する試み。

M.I.A.は、キャンペーンの広告塔として、オリジナルのミュージックビデオを発表します。

H&Mは、2013年から店頭での古着回収を開始し、現在までに25,000トンの古着を回収済。H&Mの服だけでなく、どのブランドの服でも持ち込み可能で、古着を持ってきた人には同店で使える割引券を提供しています。

回収した古着は、そのまままとめて途上国に寄付するのではなく、再販できるものは再販、リサイクルできるものはリサイクルし、無駄のないよう適切に分別して再利用。リサイクルした繊維は新製品の素材として利用し、循環型ファッションを実現しています。

ファストファッションが環境対策に取り組む理由

毎年さまざまなグリーンな取り組みを展開するH&Mですが、ファストファッションがこうした取り組みを行う意義はあるのでしょうか。

そもそも、安い製品を大量に販売して大量に古着を回収するより、質の高い製品を少量販売する方が良いはずです。

安く早く作って売るファストファッションという業態は、持続可能ではありえません。
遠くない将来、こうした業態は存続できなくなるでしょうし、できることなら今すぐに事業の在り方を改めるべきでしょう。

でも、安くておしゃれな服を買いたい人がいなくならない限り、この業態がなくなることはありません。

だからこそ、ファストファッションには、環境・社会問題対策が必要なのです。

ファストファッションなんて買う気にならないという人は、コンシャス・コレクションを買う必要はありません。
質の高い服を長く大切に着ている人は、ワールド・リサイクル・ウィークに古着を持ち込む必要はありません。

お金がないけどおしゃれを楽しみたい、でも環境のことも考えたい、ちょっと欲張りな人のために、こうした取り組みがあるのです。

どんな生き方をするかは、人それぞれ。
世の中には、厳格なグリーンマインドの人もいれば、環境のことなんて考えたことのない人もいます。
環境のことを考えたことのない人がちょっと意識を高めるために、根詰めてグリーンマインドを実践していた人がちょっと疲れを癒すために、"グリーンなファストファッション"は必要なのではないでしょうか。

H&M
ウエブサイト:http://www.hm.com/

2016/03/21

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