グッチやイブ・サンローランの親会社PPR、
2015年までに環境損益計算書を作成
(Photo by scalleja)
グッチやイブ・サンローランなど多くのハイエンドブランドを傘下に持つファッションコングロマリットPPRが、2015年までに環境損益計算書を作成することを発表しました。
環境損益計算書の対象となるのは、以下11ブランドの事業と付随するサプライチェーン全体の環境負荷。
- グッチ
- ボッテガ・ベネタ
- イブ・サンローラン
- アレキサンダー・マックイーン
- バレンシアガ
- ブシェロン
- ジラール・ベルゴ
- セルジオ・ロッシ
- ステラ・マッカートニー
- プーマ
- ボルコム
測定される環境負荷は、温暖化ガス排出量、水使用量、土地利用による環境への影響、大気汚染、廃棄物量の5分野。
PPRのCEOフランソワ・アンリ・ピノー氏は、決断に至った理由を次のように語っています。
「サステナビリティ(持続可能性)は、それによってビジネスリスクを最小限に抑え、コスト削減を促進できるばかりでなく、将来に渡りブランドを望ましい状態に保ち、競争優位を得るために必要不可欠なものだ。」
親会社PPRに先駆けて、傘下のスポーツブランド、プーマは既に環境損益計算書の作成に着手しています(詳細はこちら)。
同ブランドは今春、2010年度の温暖化ガス排出量と水使用量の貨幣価値換算額が5,100万ユーロであったことを公表していますが、今回のPPRの発表と同時に、土地・大気・廃棄物の3分野の環境負荷を加算した環境損益計算書を発表。
それによると、2010年度のプーマの環境負荷合計は1億4,500万ユーロ(約150億円)。
プーマの2010年度売上は27億640万ユーロ(約2,814億円)ですから、これら5分野の環境負荷のみで売上の約5.4%を占めることになります。
今後同社は、社会的負荷の貨幣価値換算額も公表する予定です。
環境損益計算書によると、5分野のうちもっとも負荷が高いのは水使用量(33%)、次いで、温暖化ガス(32%)、土地利用(26%)、大気汚染(7%)、廃棄物(2%)。
特に、コットンやレザー、ゴムなど素材製造工程で環境負荷が高いことがわかったのだそう。
素材や商品の生産はサプライヤーが行い、プーマ社自身は完成した商品の物流や販売しか行っていないことが強調されていますが、プーマの商品なのですから、作らせているブランド側が環境責任を負わなければならないでしょう。
また、商品カテゴリ別の負荷比率は、フットウエア66%、アパレル27%、小物7%と、売上比率(同52%、35%、13%)に準じています。
発表された環境コストはあくまで環境損益計算書用のみで、実際の財務諸表には反映されませんが、プーマやPPRが他社に先駆けてこうした行動を取ったことで、環境負荷が企業評価の重要な要素とみなされる日が一歩近づいたのかもしれません。
PPR
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Puma
ウエブサイト:http://www.puma.com/
2011/11/21