ラグジュアリー・ファッション、
サステナブルへと始動
いよいよ、ラグジュアリー・ファッションもサステナブルへと始動です。
3月末にインド、デリーで開催された、ヘラルド・トリビューン社主催のラグジュアリー・カンファレンス「サステナブル・ラグジュアリー・ニューデリ2009」。
そこには、ヘラルドの名物ファッションエディター、スージー・メンキス氏を司会に、基調講演を行った、グッチやイブ・サン・ローラン、ボッテガ・ベネタなどを傘下に持つPPRのCEO、フランソワ・アンリ・ピノー氏、エルメスのエグゼクティブ・バイス・プレジデント、クリスチャン・ブランカート氏、バレンシアガのデザイナー、ニコラ・ガスキエール氏、ステラ・マッカートニー氏、ロベルト・カバリ氏、ヴィクター&ロルフのデザイナーデュオなど、ファッション界の重鎮が大集合。
ラグジュアリーファッションがサステナブルにどう取り組んでいるか、どう取り組むべきかが話し合われました。
PPRのピノー氏の基調講演は、まず以下のような素晴らしい発言から始まりました。
「人類は、地球がもろいものであることを認識しはじめ、世界の環境遺産は有限かつ貴重なものになっている。ゆえに私はこう確信した。人類と地球は、ひとつに結び付けられるべきであり、人類は自然の中の欠くことのできない一部であると。すなわち、我々は、地球を守ることなく人類の興味関心を弁護することなどできないということである。」
そして、
「ラグジュアリービジネスも、人類と地球は共に保護されるべきであるという論理を免れはしない。むしろ、手本として、リーダーとして、この目標を達成するために、重要な役割を果たさなくてはならない。」
と、明言。
さらに同氏は、ラグジュアリービジネスの、個人主義的で、理性を欠いた快楽であり、無関心で無分別で無駄の多い世界であるという側面を認めた(!)うえで、サステナビリティとラグジュアリーの共通の価値観として、永続性、知識の伝承、才能と天然資源の保護の3つを挙げ、ラグジュアリービジネスがサステナブルになり得ることを説きます。
そして再度、
「今日、地球温暖化が実存していること、種の多様性が脅威に晒されていること、世界人口の急激な増加とエネルギー供給量のバランスが崩れていること、を否定する人などいない。考えたり悲観的になったりするのではなく、今、行動する時なのです。」
と、地球の危機と行動を起こすことの大切さに言及。
PPRのCSR部門では、従業員トレーニング・スキル開発、従業員の人種多様性、公正な労働基準に基づいたサプライヤー選出、輸送時のCO2削減、店舗・建造物の環境負荷削減、商品のサステナビリティ(持続性向上、省エネ、オーガニック素材、フェアトレード)、地元やNGOなどを通しての社会貢献、という7つの領域でサステナビリティにおける企業努力を長年に渡り行っていることを発表。こうした活動はPPR社のみならず、他のラグジュアリーファッション企業でも行われていることを、エルメスやロロ・ピアーナ、カルティエを例として挙げて、指摘しました。
そして、同社の新たな環境映画プロジェクト「HOME」についても言及し、環境の日である09年6月5日にこの映画を全世界で無料公開することを発表しました。
ラグジュアリービジネスで大きな影響力を持つピノー氏が、業界リーダーが集まる公の場で、このように、環境問題の深刻さ、行動することの大切さを訴えたということは、今後ラグジュアリー業界のサステナブル化が促進されることを意味していると考えられるでしょう。
いよいよ、ラグジュアリーの世界にも本格進出したグリーンファッション。
ファッション全体がサステナブルになる日も、そう遠くはないかもしれません。
International Herald Tribune
Sustainable Luxury New Delhi 2009
ウエブサイト: http://www.ihtinfo.com/events/luxury/index.html
ニュースリソース:
・New York Times
・New York Times
・PPRウエブサイト(PDFが開きます)
・WWD
2009/04/08