グッチ、エコサングラスコレクションを発表

Gucci eco eyewear

グッチがサステナブルなサングラスコレクションをふたつ発表しました。

ひとつは、天然原料を通常より多く含むアセテート樹脂をフレームに採用したコレクション。
アセテートとは植物の繊維を原料とした素材のことで、その樹脂はプラスチックの代わりとして、メガネやサングラスのフレームにも多く利用されています。
今回のコレクションで使用されているアセテート樹脂は、通常のものより天然原料が多く含まれているので環境にやさしいのだそう。

もうひとつは、ヒマシ油を原料とするバイオプラスチックをフレームに使用した、若者向けコレクション「アイウエブ」。
ヒマシ油とは、ヒマ(トウゴマ)という植物の種子から抽出される油で、医薬品や工業用油に使用されています。
この油から抽出した成分で作ったプラスチックは、石油由来のものと比較して環境優位性があるとして注目を集めています。

いずれも、イタリアのメガネメーカー、サフィロと共同開発したもので、8月に発売開始予定。
2012年前半には、パッケージもサステナブルなものに生まれ変わるのだそう。

エコサングラス、本当にエコ?

実は、ヒマシ油原料のバイオプラスチックは、2007~08年頃から、ミズノのランニングシューズや、富士通のノートパソコン部品、スカルパのスキーブーツ、スミス・オプティクスのサングラスなど、グッチ以外のさまざまな企業の商品に使用されており、特別新しい素材というわけではありません。

また、当コレクションに使用されているアセテート樹脂が通常のアセテートに比べてどの程度天然原料が多いのか、天然原料とはどのような素材なのかなど詳細は発表されていないので、サステナブル度合いはわかりません。

真のサステナブルブランドになるには、こうした情報を公開し、透明性を高める必要があるでしょう。

とはいえ、グッチは昨年サステナブルな取り組みを開始したばかり。
最初から完璧を求めても仕方ありません。
同社は昨夏に「エコフレンドリー・プログラム」というプロジェクトを立ち上げ、包装容器のエコ化、カタログやカードの電子化、トラック輸送の効率化、店舗照明の効率化など、サステナブルな取り組みを行っています(詳細はこちら)。

また、グッチはサステナビリティに力を入れるファッションコングロマリットPPR傘下のブランドでもあり、PPRは今年3月に「PPR HOME」と称したグループ全体の長期的なサステナブル戦略を発表しています。


Clip PPR HOME ... For the long run by videoppr

世界中でサステナビリティに取り組んでいる企業は多く、既に斬新な取り組みを実践して業界をリードする企業も多々ありますが、ハイエンドブランドでサステナビリティに力を入れる企業はまだごくわずか。

完璧ではないにせよ、絶大なブランド力を誇るラグジュアリーブランドのグッチがこのような取り組みを行うことに、大きな意義があると考えられます。

このエコサングラスの販売により、これまであまり環境問題に興味を抱いていなかったブランド愛好家がサングラスのフレームに使用されるプラスチックの環境負荷について考えるきっかけになるかもしれませんし、他のファッションブランドがこの動向に追随し、フレームにバイオプラスチックを採用する可能性もあるでしょう。

新たにサングラスの購入を検討しているのであれば、こうした良い影響の一端を担うべく、グッチのエコサングラスでサステナブルライフを楽しんでみてはいかがでしょうか。

Safilo Group
ウエブサイト:http://www.safilo.com/

PPR
ウエブサイト: http://www.ppr.com/

Gucci
ウエブサイト:http://www.gucci.com/

2011/05/31

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