ニューヨーク市、スリフトストアとのコラボで
古着回収 リ・ファッションNYC

re-fashioNYC

毎年ニューヨーク市内で捨てられる服や繊維製品(タオル、毛布、カーテン、バッグ、ベルトなど)の量、およそ20万トン。

リユース・リサイクルできるものがたくさんあるのに、わざわざスリフトショップや古着屋に持っていくのが面倒くさいという理由から、ゴミ箱行きに。
ゴミとして捨てられてしまうと、分別が非常に困難になるうえ、他のゴミの汚れがつき再利用できない状態になってしまいます。
どんなに新しくきれいな服や毛布でも、再利用もリサイクルもされず、ただゴミとして埋立地に捨てられてしまうのです。

アメリカでは通常ゴミは焼却せず埋め立てますが、これだけ広い土地を持つアメリカでも、既に埋立地確保が困難となり、ゴミ問題が深刻化しています。

ゴミを減らすために最良の方法は、捨てないこと。
つまり、捨てずに再利用することです。

そこで、ニューヨーク市が新たなプロジェクト「re-fashioNYC(リ・ファッションNYC)」を発表。

RefashioNYC

人気のスリフトストアハウジングワークスとのコラボで、ニューヨーク市内のビルに古着回収ボックスを設置し、古着の回収を簡単に行えるようにしようという試み。

もともと、アメリカでは古着回収ボックスは珍しいものではなく、ニューヨーク市内でもマンハッタンから出れば、街角やスーパーマーケット敷地内など街の至るところに設置されています。
これらは、古着業者が自治体や店舗など土地所有者の許可を得て設置しているもので、営利目的のものが多いのです。

業者による古着回収との違い

一方、リ・ファッションNYCは、市とハウジングワークスが行う非営利プロジェクトで、10以上の家族あるいはテナントが入っているビルであれば希望に応じて回収ボックスを無料で設置、集められた繊維製品は無料で回収してくれるというもの。

ビルの居住者は、要らない服や繊維製品をボックスに入れれば、クローゼットの整理にもなり、再利用可能な物を無駄にゴミにすることを防げます。
さらに、ボックス脇に置かれている寄付受取フォームに寄付した製品の価値を記入し、確定申告の際に提出すれば、免税になります。
ただし、250ドル以上の価値があるものは、ハウジングワークスに持参し審査を受ける必要があります。

寄付された服は、ハウジングワークスの倉庫に運ばれて仕分けされ、再販可能な物は店舗や倉庫で販売されます。
売れ残ったものは他のスリフトストアや海外へ送られ、それも不可能な状態のものはリサイクル業者に転売され、工業用雑巾やリサイクル繊維に生まれ変わります。
いずれの場合も、非営利団体であるハウジングワークスのミッション通り、収益はすべてエイズ患者のサポートのために使われます。

設置を希望する建物の責任者は、ニューヨーク市のウエブサイトにある申請フォームに記入・提出するだけ。
後日担当者がビルを訪問して設置場所などを確認し、回収ボックスを設置してくれます。
設置後、ボックスに服や繊維製品が溜まり次第連絡すれば、回収に来てくれるので、特別な作業は必要ありません。

居住者にとっては、わざわざスリフトストアに行かずに繊維品をリサイクルでき、ビル側にとっては、リサイクルに積極的に協力していることを入居希望者にアピールでき、ハウジングワークスにとっては、無料でボックスを設置できるうえ、マーケティングは市が行うのでコスト削減が可能、と三者ともに嬉しい仕組みなのです。

パートナー選定に当たり、市は事前にニューヨーク市内の古着回収を行うチャリティ団体に声を掛けて提案を促し、寄付や回収方法など最も優れた提案をしたハウジングワークスが選ばれたのだそう。

ニューヨーク市では、プランNYC(PlaNYC)という環境対策プログラム内の"2030年までに埋立てされるゴミの量を75%削減する"という計画に基づき、さまざまなゴミ削減策が進められています。
リ・ファッションNYCもその一環。

現在、市内で出るゴミの量は、年1,400万トン。
1/4は住居や市が設置した街中のゴミ箱によるもの、1/4はオフィス・レストラン・工場などの企業ゴミ、残りは建築・工事現場や解体業者によるものだそう。
約半分はリサイクルされているそうですが、それでも残り半分の700万トンは埋立地に廃棄されていることになります。

リ・ファッションNYCによって、本来ゴミとして扱われていたものが販売可能な製品・資源となり、ゴミの量を削減できるのです。

ゴミを出さない循環型社会を目指して、繊維品は捨てずにリサイクルボックスに持って行きましょう!

Re-Fashion NYC
ウエブサイト:http://www.nyc.gov/html/nycwasteless/html/stuff/clothing.shtml

2011/06/21

  • ピックアップ記事