ヴェレダ Weleda
(Photos Courtesy of Weleda)
"自然派"や”ナチュラル”と謳うブランドであふれ返る、現在のコスメ・スキンケア業界。
その中で、いったいどれがホンモノでどれがニセモノなのか、私たち消費者にはなかなか判断がつきません。
認証マークがついていれば安心といえるかもしれませんが、あまりにも色々な認証が氾濫しているので、どの認証マークがどんな意味を持つのか、すべてを理解するのは大変。
だから、ブランドが作られた背景や、商品作りにかける思い、ブランドを運営する企業の考え方などを知ることが大事。
ケルト語で「英知とヒーリングの神」を意味する「ヴェレダ」は、1921年、シュタイナー教育の提唱者として有名な哲学者、ルドルフ・シュタイナー氏の教えに基づいて作られたブランド。
90年以上前から続いているブランドなんて、なんだかそれだけで信頼がおけそうですが、設立の経緯も本格的。
当時、「人智学」というホリスティックシステムを提唱していたシュタイナー博士が、イタ・ウェグマンという女性医師とともに、バイオダイナミック農法で栽培した薬草を原料とする薬品を開発し、患者の治療に使用したことが、ヴェレダの始まりなのだそう。
バイオダイナミック農法とは、農薬や化学肥料を使わず、自然の力と太陽・月・星の周期にあわせて収穫などを行う農法のこと。
農薬や化学肥料を使わないのですから、もちろんオーガニックですが、それ以上に自然の力と人智を結合させた、すごい農法です。
シュタイナー博士は、人間の体や大地が本来持つ力、自己治癒力や生命力といったものに着目。
体や大地のバランスが崩れてちょっと手助けが必要になったときや、調子がよいときでもより良いバランスを保つため、薬草や有機肥料を活用する、という考えの下、ヴェレダを開発したのです。
ビューティカンパニーより、むしろ農家
現在でも、ヴェレダはドイツに135エーカーのバイオダイナミック農場を所有し、世界各国のバイオダイナミック農家とパートナーシップを結び、フェアトレードで取引して、300種以上の草花を栽培・採取しています。
だからヴェレダは、自分たちのことをビューティカンパニーというよりは農家だと言っています。
原料自体を栽培するスキンケアブランドなんて、なかなかありません。
それだけヴェレダは、原料のことを真剣に考えているということでしょう。
ヴェレダが原料として使用するのは、アロエやカモミールなど有名な草花、ゴボウや蜂蜜などの食品など、種類はさまざまなものですが、自然原料のみに限定しています。
合成物質は一切使用しないのだそう。
草花や食品だけでなく、ステアリン酸グリセリルや リノール酸グリセリルといった界面活性剤も使用していますが、あくまで自然界の物質から抽出したもので、ヴェレダの厳しい品質基準に合致した安全なもののみを厳選しています。
どの製品にどの原料を使用しているかは、ヴェレダのウエブサイトで確認できます。
また、ヴェレダは、自然原料を使用していることを証明するNaTure認証、バイオダイナミック認証のDemeter、ドイツの自然化粧品認証であるBDIHなど、さまざまな認証を得ているので、「ナチュラル」と表示しながら化学物質を使用しているニセモノブランドとは違います。
何が本当に正しいのかを知ることがとても難しい、今の時代。
使用するすべての商品の生産過程を調べて周るわけにはいきませんから、認証やブランドが発する情報を信じるしかありません。
多くのスキンケアブランドがひしめく中で、ヴェレダは実直に原料や製法の研究を重ねて製品づくりをしている企業。
本当に良いブランドを探すのは大変なことですが、それもまた買い物の楽しさといえるのかもしれません。
Weleda
ウエブサイト:http://www.weleda.com/
2010/05/28