ザ・ボディショップ THE BODY SHOP

日本でもおなじみ、動物実験をしていないことで有名なビューティブランド、ボディショップ。商品はよく使うし、ナチュラル派ってことはわかるけど、実はどんなことをしているブランドなのかよく知らない、なんて方、多いのではないでしょうか。

エコが流行になってしまっている今日この頃、流れに乗ろうと、言葉だけでグリーンを訴える企業も多い中、ボディショップは設立当初から現在に至るまで、本気で良い社会になるように、と考えて行動しているブランド。

動物実験をしていないだけではなく、フェアトレード、チャリティ、環境保全など、「良い」行いのすべてを行う、社会貢献の代表のようなブランドなのです。

ボディショップでは、「化粧品の動物実験反対」「公正な取引により地域社会を支える」「自分らしい生き方を大切に」「人権を尊重」「環境の保護」という5つの規律を掲げています。

環境・社会のための5つの規律

それぞれを詳しく見ていくと、
まず、「化粧品の動物実験反対」に関しては、設立当初からボディショップの全商品、全成分が動物実験されていませんし、サプライヤーが動物実験をすることも許可していません。それだけではなく、動物実験をしてはならないという法律を作るよう、働きかけています。
また、ボディショップのすべての商品は、動物成分を一切使用していないものなので、ベジタリアンにも安全です。

そして、ボディショップがフェアトレードを始めたのはおよそ20年前のこと。
ボディショップでは、「コミュニティトレード」と言っていますが、社会の主流から取り残されてしまっているコミュニティによって生産・採取されたものを、十分に生活でき、コミュニティが発展していけるレベルの金額で購入し、長期に渡る関係を築き上げること。
現在は24カ国31のサプライヤーとともに、このコミュニティトレードを行っています。
ボディショップは、独自の「コミュニティトレード・サプライヤーガイドライン」という基準を設け、この規約が守られるよう、常に監査しています。

そして、「自分らしい生き方を大切に」とは、会社として嘘をつかない、実現不可能な目標を掲げない、ラベルには、正直に明確に表記し、難しい専門用語を使ってごまかしたりしない、ということ。
つまり、「永遠の若さ」というような表現をよく見かけますが、現実問題としてそんなことありえないので、そういうことは記載しない、広告に起用するモデルはすごく痩せていたりすごく若いモデルを使わない、従業員は肌の色や年齢などにこだわらず幅広く採用する、従業員には、ボランティアやトレーニングなどを 通して成長してもらうことを可能にする、ということを、実際に行っています。
偽装事件が後を絶たない昨今、ボディショップのこの概念は、すべての企業が守るべき信条なのかもしれません。

「人権を尊重」、に関しては、従業員やサプライヤー、コミュニティ全体の人権を守るということ。つまり、ボディショップの店舗やオフィスでの労働条件を整え、 安全性を確保すること。ボディショップに成分などを提供するサプライヤーへもこの規律を課していて、児童労働を行わない、適切な賃金を払う、差別は行わない、など、労働条件のしっかりした企業でないと取引をしません。
この規定が守られるよう、ボディショップではEthical Trade Initiative (ETI、倫理的取引イニシアティブ)という団体に加盟し、定期的に監査を行っています。

そして、「環境の保護」ということ。
これに関しては、さまざまな活動を行っています。
まずはFSC認証の木材製品を使用すること。
そしてボディショップ製品の主成分ともなるヤシ油を栽培する際に、森林伐採や生物多様性の崩壊など、多くの問題が発生しがちなので、これを防ぐため、Roundtable on Sustainable Palm Oil(サステナブルなヤシ油会議)というNPOとともに活動していること。
PVCやフタル酸類などの危険な化学薬品の使用を禁止すること、廃棄物の減少、包装の削減、リサイクル素材の使用、そして、2010年までにカーボンニュートラルにすることを目標としています。

という具合に、とにかくさまざまな角度から、社会や環境を守るための活動を行っているのです。

特に、ボディショップの場合は、環境よりも社会貢献の方が強いようです。
環境に関しては、多くの自然派ビューティ企業が禁止しているパラベンを現在でも使用していたり、オーガニック成分への取り組みが遅れていたりと、まだまだ改良の余地はあるようですが、なにせ55カ国2,100店舗もある大企業ですから、なかなかすぐには難しいのでしょう。

普通の企業に比べたら十分過ぎるくらいですが、今後も、さらに社会・環境のために進化していくとよいですね。

ちなみに、ボディショップは、1976年イギリスで生まれたブランドですが、現在はロレアルの傘下に入っています。
一時期、大手のビューティ企業が、ナチュラル系のビューティーブランドをこぞって買収するムーブメントがありましたが、ボディショップもその流れで買収されたブランドのひとつ。大企業の傘下になっても、信念を貫いて、素敵なブランドであり続けているのは素晴らしいことです。

ということで、ボディショップのことをよくわかったら、気持ちよくボディショップの商品を使えそうですね。

同社の信念は、ボディショップ創始者アニータ・ロディックさんの本「ザ・ボディショップの、みんなが幸せになるビジネス。 」に詳しく掲載されています。

THE BODY SHOP
ウエブサイト:http://www.thebodyshop.com/

2008/08/22

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