サンドブラスト加工のダメージデニム、
大手ディスカウンターのターゲットが
取扱廃止を表明

target sandblast

ディスカウントストアのターゲットが、今年末までにサンドブラスト加工をほどこしたデニムの取り扱いを廃止することを表明しました。

サンドブラストとは、デニムのダメージ加工に使われる手法のひとつで、研磨剤を高圧で吹きつけ、摩擦で生地を削る方法。

飛散した研磨剤を長期にわたり吸い込むことで、労働者が珪肺など死に至る深刻な肺の病気にかかることが多く、問題視されています。

サンドブラストは、サビ取りや塗装剥がしなどにも使われていた手法ですが、危険性が高いため、欧州やアメリカでは禁止・規制されています。

デニム生産に強いトルコでは、換気の悪い室内で長時間サンドブラストを行った多くの労働者が死に至り、2009年に禁止されました(ICEMBBCChest)。

バングラデシュやインドなど多くの国ではいまだに規制がなく、安価で短時間に作業ができるために広く利用され、労働者が危険に晒されています。

クリーン・クローズ・キャンペーンレイバー・ビハインド・ザ・レーベルといったアパレル生産労働者の擁護団体は、先進各国のアパレル企業に対し、サンドブラスト加工デニムの取り扱いを禁止するよう呼びかけています。

リーバイス、H&M、ベルサーチ、グッチ、アルマーニ、ベネトンなど、多くのファッションブランドがこれに応じ、既に取扱廃止を表明しています。
今回、大手ディスカウンターのターゲットが加わったことで、同社に商品を卸すデニムメーカーや他小売企業が追随することが期待されます。

サンドブラストに代わるダメージ加工手法は、ストーンウォッシュ(軽石)、やすり、化学薬品、レーザー、機械による自動サンドブラストなどがあります。
いずれも必ずしも安全というわけではありませんが、サンドブラストよりは危険性が低いとされています。
安全性の高いものほどコストが高く、途上国では導入が難しいと考えられます。

ターゲットは、代替策としてやすりなどを使用するとしています。
同社のデニム素材主任技術者であるジェイ・ジョン氏は、以下のように述べています。

「ファッションのために、工場労働者の安全性を犠牲にすべきではない。
米国のみならず世界のアパレル業界にとって、ターゲットの決断が良い手本となることを願っている。」
(ターゲット公式ブログ:A Bullseye Review)

欲しいジーンズが、生産者の命と引き換えになっていることがわかれば、誰も購入しようとは思わないでしょう。
製品の生産過程を知ることは、とても大切です。
どこでどのように作られたのかを公開し、環境・社会に配慮している企業の製品を選ぶことで、こうした悲劇を防ぐことができるのです。

デニムは、時を経てこそ味わいが出るもの。
加工がほどこされたお手軽なイミテーション・ダメージより、古着を購入するか長く愛用して着倒すことの方が、本当の意味でのかっこよさといえるのではないでしょうか。

Target
ウエブサイト:http://www.target.com/

2012/03/05

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