エネルギースター EnergyStar
家電などについている、エネルギースターのマーク。
エコだというのはわかるけど、いったいどんな風にエコなのでしょう。
エネルギースターは、米環境保護庁と米エネルギー省が1992年に作った省エネ製品の認証プログラム。
環境負荷削減と家庭・企業の経費削減、省エネ製品の普及を目的として作られた制度です。
基準をクリアした製品にはエネルギースターのマークが表示されるので、消費者がエコ製品とそうでない製品を簡単に判別できます。
当初はアメリカのみの制度でしたが、現在は、オーストラリア、カナダ、日本、EU、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン公国、スイス、ニュージーランド、台湾などが参加し、世界的な認証システムになっています。
対象製品は国により異なりますが、アメリカでは、コンピューターやモニターなどのオフィス機器、洗濯機や冷蔵庫などの家電、冷暖房装置、電球や天井のファン、レストランの厨房機器や調理器具、自動販売機や冷水器、そして、電化製品だけでなく、断熱材や窓・ドアなど住宅建材まで多岐にわたっています。
基準は、製品ごとに細かく設定されています。
たとえば、コンピューターの場合、以下のような規定が設けられています(エネルギースターより一部抜粋)。
- 75ワット以下の内部電源は、負荷20%時の効率は82%以上、負荷50%時は85%以上、負荷100%時は82%以上。
- 75ワット以上の内部電源は、上記に加え、負荷100%時の力率は92%以上。
- LAN接続が可能なコンピュータでは、他のコンピュータをネットワーク経由で起動する機能(WOL)を搭載。
- 30分以上アクセスがなければスリープモードに自動切替。
- 電源管理方法やスリープモードから起動する方法などの情報が記載されたものを出荷時に同梱。
- GPU付きノートブックの場合、標準年間消費電力量は53kWh以下。
- 2コア以上2GBメモリ以上、128ビット以上のフレームバッファ付きGPU装備のノートパソコンの場合、標準年間消費電力量は88.5kWh以下。
- 上記以外のノートパソコンの場合、標準年間消費電力量は40kWh以下。
など
断熱材、窓、ドア、外壁、床材などの住宅建材に関しては、電化製品と異なり店で購入して自分で設置することが難しいので、エネルギースターのウエブサイトで、業者の選定や設置方法の指導、住宅のエネルギー効率測定ツールなどを無償提供し、省エネ効果の高い改築を実現できるよう支援しています。
製品だけでなく、住宅に対する認証もあります。
対象は新築住宅のみですが、以下5つの分野において定められた基準をクリアし、第三者機関による検査を通れば、認証が得られます。
エネルギースター認証済住宅は、一般的な家よりも20-30%省エネ効果が期待できます。
- 効率的な断熱構造
- 高性能な窓
- 効率的な空調・換気ダクト
- 効率的な冷暖房設備
- エネルギースター品質の照明と電化製品
商業ビルや工場に対する認証もあります。
こちらは、新築である必要はありません。
認証を得たいと思ったビルや工場を所有・運営する企業は、まず、エネルギースターが提供するソフトウェア「ポートフォリオ・マネージャー」を使用して建築物のエネルギー効率を測定します。
測定の結果、1-100の基準のうち75以上をクリアし、エンジニアか建築士の承認を得れば、認証取得できます。
75点以上というのは、同等の建造物より75%省エネ効果があることを意味します。
75点以上をクリアできていない場合は、社内で省エネ対策チームを結成して、エネルギー使用量削減目標・方法・スケジュールなどを設定・実行し、75点以上になるまで対策を続けます。
エネルギースターは、削減方法案や測定ツールを提供するなど、さまざまな形で認証までの道のりをサポートしています。
エネルギースター建築は、グリーンビル認証のLEEDとが混同されがちですが、エネルギースターはあくまで省エネ効率を認証するもの。
LEEDは水効率や資源の削減などさまざまな観点で評価認証するので、省エネは一部に過ぎません。
LEEDの中古ビルカテゴリの省エネ基準では、エネルギースター認証と同等であることを求めています(USGBC)。
エネルギースター認証制度は、設立から現在に至るまでに、大きな省エネ効果をあげています。
2010年には、車3,300万台分の温室効果ガス、180億ドル分の電気代節約効果があったのだそう。
認証システムは色々あるので、エネルギースターのみにこだわる必要はありませんが、省エネ効果の高い製品を生産・購入することで、気候変動や有限資源の枯渇など地球規模の問題解決に貢献できるでしょう。
EnergyStar
ウエブサイト:https://www.energystar.gov/
財団法人省エネルギーセンター
ウエブサイト:http://www.eccj.or.jp/index.html
2012/02/14 訂正
2008/08/19