グリー・ガム Glee Gum
(Photos courtesy of Velve Inc.)
グリー・ガムは、自然原料のみで作られた、オールナチュラル・チューインガム。
オールナチュラルっていうけど、普通のガムはナチュラルじゃないの?
ガムにはいったい何が入っていて、どうやって作られるんだろう?
と、疑問を抱いたこと、ありませんか。
ガムは本来、熱帯雨林に生息する樹木から採取される樹液(「チクル」という樹液が代表的)を原料として作られます。
まず、採取した樹液を煮て、型に入れ、精製します。
そこに、糖分やシロップを加えて練り、塊にして、成型、裁断し、味や色をつけるためにコーティングして、最終的に粒状あるいは板状の小さなガムになる、という仕組み。
ところが、現在世界に出回っているガムのほとんどが、樹液ではなく、酢酸ビニル樹脂やエステルガムという人工的に作られた化学物質を使用しています。
なぜなら、チクルを採取するのは、労働集約的だから。
熱帯雨林のジャングルに入り、木に登って樹皮に切り込みを入れ、流れ出る樹液を採取するという大変な作業が必要で、その作業を行うためには高い技術や訓練を要するのです。
こうした作業にかかるコストを削減するため、あるいは、噛み心地をより良くするために、化学物質が使われているのです。
そのうえ、弾力性や硬さを調整し、風味や色をつけるために、ガムには人工甘味料や香料、色素などの添加物が加えられています。
つまり、ガムを噛むことは化学物質を摂取するようなもの。
もちろん使用される化学物質の安全性は確認されていますが、そうはいっても、好き好んで化学物質だらけの食品を摂取したいとは思いませんよね。
だから、グリー・ガムは、チクルに米水あめや果汁などを加え、自然原料のみで作られているのです。
ガムを食べて熱帯雨林を保護
また、人工樹脂が出回るようになったために、熱帯雨林のチクル産業が衰退しつつある、という問題も起こっています。
チクル産業は木を切り倒さずに樹液だけを採取するのでサステナブルな森林管理が期待できますが、産業の衰退に伴い、木を伐採して販売する木材産業に転向する業者が出現しているそう。
地球の大切な資源である熱帯雨林の木々が伐採されると、気候変動が加速してしまいます。
グアテマラでこの現実を目にしたデボラ・シンバーグさんという女性が、チクル産業を守り、ガムを本来の姿に戻そうと考え、作り出したのが、グリー・ガムなのです。
市販のガムだけでなく、自分でガム作りを体験できるチューインガムDIYキットや、ココアからチョコレートを作るDIYキット、海草からグミを作るDIYキットも販売中。
これさえあれば、どうやってガムやチョコ、グミができるのかがよくわかります。
子供でもできる簡単なキットなので、学校の教育資材として使われることもあるのだそう。
現在、北米でチクルを原料として作っているガムは、グリー・ガムだけなのだそう。
グリー・ガムを生産する企業ヴァーヴ社は、売上の1%を環境保護団体に寄付する「1%フォー・プラネット」のメンバーであり、中央アメリカへの植林を行う団体「ツリー・フォー・ザ・フューチャー」とパートナーシップを組み、チクルが取れるサポジラの木を守る活動を行っています。
グリー・ガムのウエブサイトでは、写真とイラストでわかりやすく、チクルからガムができるまでを教えてくれています。
食べて体にやさしいだけでなく、食べ物がどうやって作られるかを知ることができ、地球温暖化のことまで学べる、なんだかお得なグリー・ガム。
これを機に、みんなが自然原料で作られたものだけを食べるようになれば、体にとっても地球にとっても良い影響が生まれそう。
グリー・ガムは、全米のオーガニック・自然食品店で販売中です。
Glee Gum
ウエブサイト:http://www.gleegum.com/
2009/06/16