アウトドアアパレル向けエコ基準
「エコ・インデックス」ベータ版をリリース
オーガニック認証など環境へのやさしさを測る基準がたくさん出回る中、いよいよアパレル業界にもエコ基準が登場しました。
その名も「エコ・インデックス」。
非常に分かりやすい名称のこの基準は、アメリカのアウトドア業界を統括する”アウトドア・インダストリ・アソシエーション”と、欧州のアウトドア協会”ヨーロピアン・アウトドア・グループ”が共同で、4年の歳月を掛けて開発したもの。
内容はウエブサイトで公開されるので、両協会に加盟しているアウトドア企業のみならず、アパレル関連企業やその他類似業態の企業ならどこでも利用できます。
エコ・インデックスの利用用途は、以下3つが想定されています。
- 環境品質基準 (Guidelines)
- 環境配慮度の採点指標 (Indicators)
- 環境負荷測定基準 (Metrics)
これら基準や指標を製作するのに、製品ライフサイクルの工程である”ライフサイクル・ステージ”と、環境視点である”レンズ”というふたつの領域を設定し、両者を掛け合わせる形を採っています。
”ライフサイクル・ステージ”は、素材(原料、素材生産)、包装・梱包、製品生産・組立、輸送・配送、使用・サービス、廃棄後、と6つの工程から成り、”レンズ”は、土地使用度、水、廃棄物、生態系、化学薬品・有毒性(人体)、化学薬品・有毒性(環境)、エネルギー使用量・温室効果ガス排出量、の7つの視点から成っています。
これらふたつの領域を使用してどのような形で基準や指標ができているかというと、たとえば素材ステージにおける環境品質基準(Guideline)では、素材使用率を削減する、使用原料の環境負荷を理解する、原料の認証を確認する、素材の耐久性を検討する、など、素材の使用・生産における環境配慮基準が設けられています。
企業は、これを参考にして環境に配慮したビジネス活動を行うことができます。また、社員への教育ツールとしても活用できます。
採点指標(Indicator)に関しては、包装・梱包ステージでは、使用禁止物質、処理、消費財廃棄物の使用率、使用物質の認証などの項目が設けられており、たとえば”処理”項目の中のインク原料に関する指標では、原料が金属だとマイナス1ポイント、石油由来物質だと0ポイント、バイオ原料(大豆など)だと0.5ポイント、水性だと1ポイント、インクを使用していない場合は2ポイント、という具合に加減算される仕組みになっています。
これを活用すれば、製品ライフサイクル全体での環境配慮度を測定評価することが可能です。
環境負荷測定基準(Metrics)に関しては、たとえば廃棄物ステージでは、無害廃棄物と有害廃棄物に分けて計測すること、そして、無害廃棄物においては、リサイクル、堆肥化、環境管理していない/いる焼却処分、焼却処分でのエネルギー再利用、環境管理していない/いる埋め立て処理、など分類ごとに測定するなどと、測定の方法を示しています。
企業はこの基準を参考にして、環境負荷を測定することができます。
今後の展開
現在公開されているのはベータ版ですが、今秋には専門家の査読が行われ、2011年1月には正式版がリリースされる予定。
ただし、エコ・インデックスはあくまで業界内での基準・指標であり、現状では各企業が基準を遵守していることを認証する仕組みがないので、たとえ企業がこのインデックスを遵守したり自社製品の環境スコアを割り出していても、それを消費者に対してアピールすることはできません。
とはいえ、恐らく、正式版リリース後に両アウトドア協会に加盟している企業はこの基準の遵守が義務付けられることになるでしょう。
そうなれば、両協会への加盟企業は環境に配慮された製品を生産していることの証明になるので、消費者は商品を選ぶ際の基準として活用できるはずです。
アメリカのアウトドア・インダストリ・アソシエーションには、環境意識の高いパタゴニア、ティンバーランド、ナウをはじめ、アークテリックスやノースフェイスなど人気のアウトドアブランド、LEIやパラゴンなどアウトドア小売店など、アウトドア関連企業のほとんどが加盟しているので、エコ・インデックスが義務化されれば、アパレル業界の環境負荷が大きく削減されることになるでしょう。
アパレル業界が地球と共存するための新たな一歩であるエコ・インデックス、正式リリースが待ち遠しいです。
Eco Index
ウエブサイト: http://www.ecoindexbeta.org/
2010/08/09