セブンス・ジェネレーション、
ウォルマートと長期提携を発表
(Photo courtesy of Seventh Generation(上), Walmart(下))
エコ家庭用品メーカーのセブンス・ジェネレーションと最大手ディスカウンターのウォルマートが長期提携を発表しました。
今年9月以降、1500以上のウォルマート店舗とウエブサイトにて、セブンス・ジェネレーションのクリーニング用品やベイビー用品が販売されます。
特別注目すべきニュースではないように思えるかもしれませんが、実はこの提携、さまざまな経緯を経て長年掛けてたどり着いた結末であり、なかなか深い意味を含んでいるのです。
セブンス・ジェネレーションは、20年以上も環境にやさしい家庭用品を生産・販売している、いわゆるホンモノのエコメーカー。
一方ウォルマートは、とにかく安くモノを売ることを信条とする、世界一のディスカウンター。
セブンスの価格がウォルマート顧客に受け入れられるのかということも疑問ではありますが、なにより、前者はエコピープルにファンが多く、後者はストイックなエコナードたちに毛嫌いされている、いわば正反対の企業。
そのふたつが提携したというのですから、ちょっと驚きのニュースなのです。
とはいえ、これまで当サイトでも何度も記事にしているように(こちら)、ウォルマートは2005年以降サステナビリティの大切さに目覚め、いまやサステナビリティ領域におけるリーディングカンパニーと称される企業。
ただ安く売ることしか考えず環境や従業員のことなど二の次であった、かつての悲しい大企業の姿とは違ってきているのです。
でも、その変化はたったこの5年間で起こったこと。
かつてのウォ社の愚行に嫌気を覚えた人々にとって、なかなかその変化を受け止められないのも仕方ありません。
セブンス・ジェネレーションもそうした企業のひとつでしたし、同社の共同創設者であるジェフリー・ホレンダー氏も長年アンチ・ウォルマート派でした。
実は、ウォルマートはサステナビリティに目覚めてからというもの、何度もセブンス・ジェネレーションの商品を扱いたいとアプローチしたのですが、セブンス社はずっと拒否し続けてきました。
ところが2008年、ウォルマートがナチュラル・オーガニック系商品を中心に扱う"マーケットサイド"という店舗形態をオープンした際、セブンス社は同店舗に商品を卸すことを許諾。
ただし、"マーケットサイドと取引をするのであってウォルマートと取引するのではない""ウォルマート・スーパーセンターとは絶対に取引しない"と明言していました。
という経緯があったうえでの、このニュース。
いったいどんな変化がセブンス社にあったのでしょう。
変化を受け入れる
2009年にCEOを降りたものの依然実権を握るホレンダー氏が、公式ブログで、この提携劇に対して次のように発言しています。
"22年前に小さなカタログ販売から始まったセブンス・ジェネレーションは、設立当時、サステナビリティをすべての家庭にもたらし、歯磨きのような日常生活にまでその概念を浸透させる、という大きなビジョンを掲げていた。20年以上経ってもいまだそれは実現できてはいないが、ウォルマートとの提携によって実現にかなり近づけることになる。"
”ウォルマートと提携したのは、今がそうすべき時だからである。
そしてその理由は、ひとつに、ウォルマートは5年前とはまったく異なる企業、サステナビリティにおけるリーディングカンパニーになったということ、もうひとつは、ウォルマートの規模を活用すれば、すべての消費者が地球を守り自身を害することを妨げるというセブンス社のミッションの実現に一歩近づけることである。”
この提携は、ウォルマートが本当にサステナブルな企業になったと世間に認められたことの証明でもあるのでしょうし、大企業というだけで毛嫌いしてしまうストイックな小さなエコブランドにとって、大企業を活用することによってサステナビリティを広く浸透させることができるというメリットを知る良い事例にもなったのではないでしょうか。
人も企業も、変化していくもの。
過去の考えや失敗に固執して、いつまでも変化を認めなければ、自分も相手も成長することはできません。
そんな教訓が、この提携劇には含まれているような気がします。
そうはいっても、どんな企業もどんな人も、意図していようとなかろうと過ちは犯すものですし、100%悪いところがないなんてことはないでしょう。
良い変化が起こってもそこで安心してはいけませんし、悪いことが起こったときに常に意義を唱える姿勢は必要です。
ともあれ、この提携によって、より多くの人がサステナビリティに気付くようになることは間違いないでしょう。
Seventh Generation
ウエブサイト: http://www.seventhgeneration.com/
Walmart
ウエブサイト:http://www.walmart.com/
2010/08/02