トレジャー&ボンド treasure&bond
(Photos courtesy of Nordstrom, Inc.)
収益の100%を慈善団体に寄付するチャリティショップ、トレジャー&ボンド。
一般にチャリティショップというと、訳あり商品や中古品が積み上げられ、宝探し感覚を楽しむイメージですが、トレジャー&ボンドはなんだかちょっと違います。
ソーホーの大通りウエストブロードウェイに面する、全面ガラス張りの2階建て。
約11,000スクエアフィート(1,022㎡)の広いスペースに、ファッション、ジュエリー、アート、インテリアグッズ、家具、文房具などさまざまなカテゴリから厳選された個性豊かな150ブランドが、ゆったりとディスプレイ。
FEEDバッグやマイティ・ウォレットなど、グリーンブランドも充実しています。
非営利なのに、なんだかゴージャス。
一見、通常のセレクトショップと変わりません。
実はこのショップ、大手高級百貨店のノードストロームが運営しているのです。
とはいえ、ショップにはノードストロームが関与していることを示すものは何もなく、支払い時にノードストロームのストアカードを利用することもできません。
ノードストロームが所有してはいるものの、トレジャー&ボンドはあくまで自立した運営を目指すチャリティショップ。
コストを抑えて寄付額を増やすために、内装にお金を掛けず、什器などはノードストロームの“お下がり“を活用しています。
通常のノードストロームの店舗と異なり、パイプ剥き出しでコンクリート打ちっぱなしの内装、それぞれの什器は素敵なのに寄せ集めのようで統一感に欠ける感じがするディスプレイは、そのせいなのです。
トレジャー&ボンドは、地元に利益を還元する“ローカル・ビジネス“。
収益は、ニューヨーク市の子供たちを支援する慈善団体に寄付されます。
寄付先は3ヵ月ごとに変わりますが、2012年6月まで以下のように決まっています。
- 2011年8‐10月:
-ニューヨーク市立図書館(子供・若者向けプログラム)
-ニューヨーク市ヤングメンズ・イニシアティブ(黒人・ラテンアメリカ系若い男性向けのプロジェクト) - 2011年11月-2012年1月:
-チルドレンズ・ヘルス・ファンド(子供の健康維持)
-コーリション・フォー・ホームレス(ホームレスの子供向けプログラム) - 2012年2‐4月:
-エディブル・スクールヤードNYC(食育)
-フレンズ・オブ・ハイライン(空中公園ハイラインの教育プログラム) - 2012年5-6月:
-スローン・ケタリングがんセンター(小児がんプログラム)
-アソシエーション・トゥ・ベネフィット・チルドレン(障害を持つ子供のサポート)
営利企業がなぜチャリティショップを運営するのか、ノードストロームは明言を避けていますが、同社は長くニューヨークへの出店を検討していることが知られているため、リサーチ&マーケティングの一環と推測されます。
徐々に増えつつある、営利企業の非営利事業。
トレジャー&ボンドを機に、小売業界でも広まっていくかもしれません。
***トレジャー&ボンドは閉店しました***
Treasure & Bond
ウエブサイト:http://www.treasureandbond.com/
2011/11/13