アイリーン・フィッシャー、
「&」キャンペーンでサステナビリティを強調

EileenFisher
(Photos by courtesy of Eileen Fisher)

サステナビリティの実現に力を入れるアパレルブランド、アイリーン・フィッシャー。
これまでその努力や功績を大々的に宣伝することなく、静かに着実に実績を積み上げてきましたが、この秋、200万ドルのコストをかけて「アンパサンド(&)」と題したサステナブルキャンペーンを展開することに。

「&」は、アイリーン・フィッシャーの洗練されたブランドイメージの背後に、サステナビリティを実現するためのたゆまぬ努力があることを示唆する記号。

モデルを起用した従来の広告画像に、「&」のマークと数行のメッセージが加えられ、商品が作られる過程でどのような環境・社会的貢献が為されたのかを簡潔に紹介しています。

キャンペーンで主張するのは、環境保護、女性の地位向上、伝統工芸・文化の保全。

たとえば、上の写真でモデルが着用しているフェアトレードオーガニックコットンセーター。
化学物質を使用せず、輪作や益虫の活用など古来の農法を用いて栽培されたオーガニックコットンの繊維を、環境負荷の低い方法で染色したもの。
ブルーサイン、GOTS、エコテックスと3つの環境認証(繊維認証詳細はこちら)を得た繊維を使用しているから、信頼度は絶大。
そのうえ、ペルーの職人が手織りで製作したものをフェアトレードで購入しているから、環境対策だけでなく社会貢献も実現しています。

Eileen Fisher

こちらの写真のカシミアセーターは、染色すらしていないもの。
美しいベージュは、カシミアの毛の自然な色味。
素材が本来持つ性質を活かすことで 通常の生産工程で必要な有害物質や水、エネルギーを一切排除できるのです。
ジーンズは、地元ニューヨークの工場で生産されたもの。
デニムは環境負荷が高いアイテムですが(詳細はこちら)、アイリーンフィッシャーでは染色や加工の際に有害物質や危険な手法を避け、環境にも労働者にも安全な方法で生産しています。
現在一部のデニム製品はポルトガルで生産していますが、今後すべてのデニムをアメリカ国内で生産するよう計画しています。

女性の地位向上は、企業ミッションのひとつとして長期的に取り組んでいる課題。
女性起業家や女性のリーダーシップ向上プログラムを行う非営利団体に対し、継続的に助成金を支給しています。

普通のアパレルから、短期間でサステナブルブランドに

このように、さまざまなサステナブル活動を実践するアイリーンフィッシャーですが、実は、オーガニックやフェアトレードの取り組みを開始したのは2005年と、ごく最近のこと。
まだそれほど年数を経ていないにも関わらず、現時点で同社が取り扱うコットンの70%がオーガニック。
リサイクル繊維や環境配慮型染色、フェアトレードなどを含めサステナブルな方法で生産された製品は、全製品の25%に及んでいます。

もともとサステナビリティの実現を目的として設立されたブランドではないにもかかわらず、その重要性に気付いて以来、一貫してサステナビリティを追求し続けるアイリーンフィッシャー。

トレンドとして一時的にオーガニックコットンを使用したり、株主対策として派手にCSR(企業の社会的責任)を宣伝する多くのグリーンウォッシャーと異なり、今回の「&」キャンペーンでも、製品の生産工程を紹介するだけというごく控えめな主張。
慎ましく堅実に歩を進める姿勢から、同社が真にサステナビリティの実現を考えている様子が伺えます。

真摯に取り組む企業を支援することは、私たち市民が簡単に実践できるサステナブル活動。
次に買い物する際、どの企業の製品を買うべきか、ちょっと立ち止まって考えてみませんか。

Eileen Fisher, Ampersand Campaign
ウエブサイト:http://eileenfisherampersand.com/

2012/07/26

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