エコオムツのジーダイアパーズ、
生分解性などの表記でFTCが措置命令

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(Photo courtesy of gDiapers)

米連邦取引委員会(FTC)は、環境にやさしいオムツとして人気のジーダイアパーズに対し、生分解可能などの広告が虚偽表示に当たるとし、実証できるまで表示を禁止する命令を下しました。

同社のオムツは、再利用可能な布製のカバー「ジーパンツ」と植物繊維で作られた使い捨てのインサートで構成され、別売りでおしり拭きなども販売されています。

FTCが虚偽と指摘したのは、インサートやおしり拭きをゴミとして捨てると生分解されるという表記、インサートをトイレに流すと生分解されるという表記、トイレに流すことが環境にやさしいという表記、「100%生分解可能」や生分解「認証済」、堆肥化可能、プラスチック未使用という表記など。

FTCが発行しているエコ広告規制「グリーンガイド」によると、生分解可能と表記するには、通常の方法でゴミとして捨てた後、1年以内に、自然界に存在する元素になるまで完全に分解される必要があり、それを信頼に足る第三者機関が証明しなければなりません。

さらに、同規制では、○○未使用(○○フリー)と表記するには、その物質の含有量が認識できないほど微量でなければならないとしています。

同社のインサートやおしり拭きは、この基準に合致していないというのが、FTCの主張です。 

ジー・ダイアパーズの真摯な対応

今年1月にFTCがこの措置を発表した直後に、ジーダイアパーズは自社ブログで意見を表明しています。

それによると、同社は、FTCが2012年にグリーンガイドを改定してから現在までの間、同局と相談しながら、ウエブサイトや包装容器の文言に必要な修正を行ってきたと主張。

また、使い捨てインサートは、これまでどおり、「ゆりかごからゆりかごへ」認証を得ており、トイレに流せ、家庭で堆肥化すると生分解し(濡れているもののみ・70-150日)、プラスチック未使用なので安心して欲しい、としています。

さらに、個々の指摘に対しては、次にように反論・対応しています。

  • FTCは、普通ゴミとして捨て埋立地に運ばれた場合の生分解性と堆肥化を指摘しているが、同社はウエブサイトにも包装容器にも、埋立地に運ばれたものは生分解しないと明言している。ただし、誤解のないように、今後は表現をさらにわかりやすく改める。
     
  • FTCは、トイレに流したインサートは100%完全には生分解しないと指摘しており、同社もそれに同意する。同社のインサートはこれまでどおりトイレに流せるし、使用済オムツをトイレに流せるのは親にとって素晴らしいことだと考えているが、下水に流れたものが何%分解するかを検証するのはとても難しいので、今後はトイレに流した場合の生分解性は表記しない。
     
  • FTCは、便がついたインサートを家庭で堆肥化することの安全性を疑問視しているが、同社はウエブサイトでも容器包装でも(尿で)「濡れているもののみ」と記載している。ただし、堆肥化の用語を使う際に毎回必ず記載していたわけではないので、今後は注意する。
     
  • FTCは、生分解「認証済」の記載を疑問視しているが、同社は生分解製品協会(BPI)が推奨する国際的な生分解可能製品基準「ASTM D6400」の検査に合格している。ただし、その検査結果が第三者機関に認証されているわけではないので、今後は生分解性「認証済」の表現を使用しない。「ゆりかごからゆりかごへ」認証済であることは今後も変わらない。
     
  • FTCは、プラスチック未使用の表現を指摘しているが、同社はインサートに関してプラスチック未使用と表現しているのであり、プラスチック部品が使われているジーパンツに関しては言及していない。
    また、FTCは、古いおしり拭きの生分解性を指摘しているが、同局から問い合わせが来る前に既に対応済。

最後に同社は、2005年の起業以来ずっと「本物であること」をモットーにしていること、この命令が表現を精査する良い機会になったこと、表現方法を変更しても同社製品のメリットは変わらないことなどを主張しています。

FTCの厳しい最終判断と消費者の反応

FTCは、今年1月にこの命令を発表した後、1ヶ月間の公聴期間を経て、先月同じ内容で最終確定を出しています。

世論には、FTCの指摘は当然という声もあれば、細かすぎるという声、もっと他に指摘すべき企業があるのではという声もありましたが、同社の対応が素早く真摯なものだったからか、大きな騒動には至りませんでした。

FTCが細かいことまで指摘するのは必要なことでしょうし、これにより表現を改める企業も出てくるかもしれませんから、意義はあったといえるでしょう。

一方、ジーダイアパーズの表現に誤解を招くところはあったとはいえ、意図的ではないようですし、同社の製品が使い捨てオムツの量を減らす効果があるのは間違いないのですから、今回の件で顧客が離れていくこともないでしょう。

社会にとっても、同社にとっても、今回の件は結果的に良かったのでしょう。

何が環境にやさしいのかの判断は難しいですが、どんな製品でも、必要でないものは買わず、長く使うことが大切なのではないでしょうか。

gDiapers
ウエブサイト:http://www.gdiapers.com/

2014/04/04

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