FIT美術館、エコファッション展を開催
多くのファッションデザイナーを輩出する、アメリカを代表するファッション大学、FIT(ファッション・インスティテュート・オブ・テクノロジー)。
現在、併設する美術館でエコファッション:ゴーイング・グリーン展を開催中。
エコファッション展といっても、単にエコブランドのアイテムを展示しているだけではありません。
18世紀の貴重なドレスやテキスタイルから現代のいわゆるグリーンファッションブランドのアイテムまで、2世紀に渡って歴史的なファッションアイテムを時系列で展示。
しかも、環境にやさしいファッションだけでなく、環境や人体に悪影響を及ぼすヒ素で染色した1860年代のドレスなども展示され、ファッションと環境との関係を考えさせてくれる深い構成になっています。
エコファッション展では、以下の6つをテーマに掲げ、それぞれの項目で、ファッションと環境に関する様々な問題を提起しています。
- 素材の再利用&リサイクル
- 素材が生産される背景
- テキスタイルの染色と生産
- 職人の技
- 労働慣行
- 動物の扱い
現在では、素材をリサイクルすることや農薬を使わないコットンを使う"エコファッション"が素晴らしいことのように捉えられていますが、昔はそれが当たり前。
丁寧に栽培した綿花を摘み、糸にして、布にして、一枚の布を織るのも一苦労。
それを草木で染めて、手で縫って、ようやく一枚の服が完成したのです。
それが現在では、安く大量に生産するために、農薬を使い、限りある資源を使い放題に使い、科学技術の名のもとに大量の化学薬品を使い、貨幣価値の差を利用して労働搾取を行い、いとも簡単に服が生産され、ありえないほど安い値段で販売されるという、なんともひどい状況になってしまったのです。
その結果、環境や社会に大きな影響を与え、ようやく"エコファッション"の大切さに気付いた私たち。
気付いたからには、今までのように、我欲の限りに資源を無駄にはできません。
私たちが何気なく着ている服は、長い長い歴史を経てこういう形になったのだということ、そして今、私たちが何気なく着ている服が環境や社会に大きな影響を与え、様々な問題が起こっているということ、いろいろなことを考えさせられるエコファッション展。
11月まで開催されているので、ぜひ訪れてみてください。
The Museum at FIT, Eco-Fashion: Going Green
ウエブサイト: http://fitnyc.edu/3662.asp
2010/06/01