アメリカとEU、オーガニック製品を相互認証
(Photo courtesy of USDA & EU Organic farming)
アメリカとEUが、オーガニック認証における提携を発表しました。
2012年6月1日より、アメリカとEUのオーガニック認証は同等であるとみなされ、アメリカあるいはEUで認証されたオーガニック製品を両エリアで認証済オーガニックとして販売することが可能になります。
アメリカのオーガニック市場は、2010年286億ドルで世界一。
EUのオーガニック市場を合わせると、500億ドル以上の巨大市場となります。
両者の認証基準にはほとんど違いがありませんが、唯一の大きな違いは、抗生物質の使用規制。
アメリカの認証基準では、火傷病対策としてリンゴとナシ農園での抗生物質の利用を認めているのに対し、EUでは家畜への投与のみが認められています。
今回の同意により、両エリア間で輸出入される製品は、抗生物質の利用が一切認められないことになりました。
世界1、2位のオーガニック生産地域が手を組んだのですから、この基準が世界標準となることは間違いないでしょう。
今後、両エリア間で、禁止された抗生物質の代替手段、動物の取扱方法、遺伝子組み換え種子混在の防止策などを検討することが予定されているため、さらに基準が厳しくなり、遺伝子組み換えへの規制が強化される可能性もあります。
対象商品や表記はどうなる?
対象製品は、魚介類を除く食品全般。
アメリカとEU諸国以外で栽培・畜産されていても、最終加工・包装が両エリアで行われ、両エリアのオーガニック認証を得ているものは、対象となります。
ロゴや文言の表示方法は、現行のUSDAオーガニックとは少し異なります。
USDA認証では、100%オーガニックの場合はその旨を記載でき、70-95%オーガニックの場合はロゴは使用できないものの「Made with Organic ○○」と記載ができます。
一方、EU輸出向けオーガニックでは、100%オーガニックや「Made with~」の記載は認められません。
95%以上オーガニックの場合のみ、オーガニックと記載、ロゴを使用してよいことになります。
アメリカのオーガニック製品輸出額は、2010年18億ドル。
今後、両エリアのオーガニック農畜産業者は、自国の認証取得のみで済むため、コストや労力を大幅に削減できます。
ただし、抗生物質の使用規制などこの提携特有の条件があるため、認証時に検査官に輸出対象である旨を伝え、生産地や認証団体などが記されたオーガニック輸出証明書を獲得しなければなりません。
この提携により、透明性が高まること、基準がより厳格になること、欧米のみならず世界中でオーガニック市場が拡大すること、その他製品におけるオーガニック認証システムの統合が加速されることなどが期待されます。
サステナビリティの観点では、野菜や肉類などの生鮮食品は地産地消が望ましいですが、ワインやチーズ、チョコレートなどの嗜好品や加工食品などで生産者特有の味や風味があるものは、この提携によりビジネスの活性化が期待できるでしょう。
United States Department of Agriculture
ウエブサイト:http://www.usda.gov/
2012/02/16