ニューヨークに温室効果ガス値を表示する
「カーボンカウンター」登場!
ニューヨーク、マンハッタンの中心部に登場した、温室効果ガス値を表示する巨大なビルボード「カーボンカウンター」。
高さ約21x幅11メートルの巨大なビルボードに表示された温室効果ガス値が、すごい速さで増え続けていくのを見ると、愕然とします。
世界初となるこの試みは、ドイチェ銀行による環境への取組みの一環で、刻々と変わる数値は、マサチューセッツ工科大学(MIT)が、米国海洋大気庁やNASAが記録したデータに基づいて算出したもの。
数値は、京都・モントリオール議定書で規定された温室効果ガスのうち、オゾンとエアロゾル(短寿命物質)以外の24物質(長寿命物質)すべての値を含んでいるとのこと。短寿命物質を除いたのは、それを含めてしまうと、正確な値を示すのが難しくなってしまうからだそう。
カーボンカウンターによると、現在の温室効果ガス値は約3兆6,400億トンですが、なんと、1ヶ月に約20億トンずつ増加し続けているのだそう。
これだけ世界各国で、温室効果ガス削減、CO2削減、なんてキャンペーンがしきりに行われているのに、一向に減る様子がないという実態には驚かされます。本当に価値のある活動がどれだけあるのかが明らかになったということでもあるのでしょうし、私たちひとりひとりの省エネ活動が、まだまだ十分でないということの表れでもあるのでしょう。
カーボンカウンターが設置されているのは、33rdストリートと7thアベニューの角の目立つ場所。
長距離列車の発着駅であるペンステーションやバスケなどスポーツの試合やコンサートが行われるマディソンスクエアガーデンの脇ということもあり、毎日50万人が行き交う場所で、人々の目に留まりやすいということで、この場所が選ばれたとのこと。
世界中から旅行客が集まるニューヨークに掲げられたこのボードを見て、毎日50万人がこうした事実を知るだけでも、大きな効果があるのではないでしょうか。
もちろん、わざわざこのカーボンカウンターを見るために、飛行機で温室効果ガスを撒き散らして日本からニューヨークまでやって来る必要なんかありません。
ドイチェ銀行が、同社ウエブサイトから、ニューヨークのビルボードと全く同じ値が表示されるミニ・カーボンカウンターをパソコン上にダウンロードできるという、粋な試みを行っていますので(こちら)、そちらを利用してみてください。
ちなみに、ニューヨークのカーボンカウンターは、それ自体が温室効果ガス増加を促進してしまわないよう、カーボンニュートラルの試みを行っています。
可能な限り消費エネルギー量を抑えるべく、電球にはLEDを使用していますが、その数40,960と膨大。
そのため、消費したエネルギー量をCERという炭素クレジットを使ってオフセットしています。
カーボンカウンターには、「気候変動はすべての人に影響を与える」という言葉が書かれています。
気候変動の原因となる温室効果ガスは、私たちひとりひとりの行動が作り出したものであり、私たちの行動がすべての人に影響を与えていることを忘れてはならない、というメッセージなのでしょう。
いつかカーボンカウンターの数値が減り始める日がやってくるのを楽しみに、すべての人が日々の行動を見直すようになると良いですね。
Deutsche Bank Group "Know the Number"
ウエブサイト:http://www.dbcca.com/dbcca/EN/
MIT Joint Program on the Science and Policy of Global Change
ウエブサイト:http://globalchange.mit.edu/index.html
2009/06/22