エコ家電の第一人者が集結、
グリーナーガジェッツ・カンファレンス
グリーンガジェッツ・カンファレンスでは、先日お伝えしたエコデザインコンテストの優勝者発表のみならず、グリーン家電業界人による講演・パネルディスカッションも開催。
エネルギー・Co2消費事情、メーカーのグリーン化手法、社会的影響、リサイクル、の四部構成で行われ、エコ家電の第一線で働く豪華メンバーによる充実したカンファレンスでした。
第一部は、発明家であり、社会や環境に良い活動をする企業や団体をいくつも起業しているサウル・グリフィス氏によるオープニング基調講演。
グリフィス氏は、現在人類がどれだけ環境への悪影響を与えており、どれだけ環境問題が深刻か、どうしたら悪影響を減らすことができるかを、さまざまなデー タやグラフを交えてわかりやすく解説。それを受け、家電業界が採るべき策は寿命の長い商品「エアルーム・プロダクト(エアルームは、トマトに代表されるよ うに、バイオ技術や遺伝子操作などされず古来から代々続くものという意味)」を開発すること、修理などの文化を根付かせる必要があると提案。
第二部は、「MEASURING YOUR HUE OF GREEN(グリーン度を測る)」と題し、作り手であるメーカーのグリーン化方法やグリーン度測定方法、消費者側が作り手に求めていることなどに関するパネルディスカッション。
ビジネスウィーク誌のエネルギー・環境担当エディター、アダム・アストン氏をモデレーターに、インテル社の環境・エネルギー担当スティーブン・ハーパー氏、デル社の環境問題担当マイケル・マーフィー氏、エコブログ・ツリーハガー(Tree Hugger)のCOO、ケン・ロザー氏、企業向け二酸化炭素管理ソフトウエアを提供するプラネット・メトリックス社のアーロン・ダレク氏がパネラーとして参加。
メーカーの環境対策としてCo2削減と省エネに最も力を入れていること、最近は素材や化学薬品の毒性にも注目が集まり、その影響分析と代替物質の模索にも注力 していること、企業内部だけでなくサプライヤー、サブコンを含めサプライチェーン全体を通した環境対策の重要性、Co2排出量を商品価格に反映させることの可能性、リサイクルを考慮したデザイン手法、イノベーションは重要な要素だが商品寿命を延ばすことや、機種変更をせずに自動バージョンアップを付与するなど、新商品開発以外の手法が環境負荷削減に大きな意味を持つであろうこと、など、さまざまな意見が交わされました。
第三部は、「GREEN DESIGN FOR GOOD(良いことのためのグリーンデザイン)」と題し、環境にやさしいだけでなく社会のためにもなる商品がテーマのパネルディスカッション。
プラネットグリーン局のエコテレビ番組「Gワード」の司会者であるダニエル・シーバーグ氏をモデレータに、デザイン会社ニューディールデザイン社のガディ・アミット氏、ソーラーパネル付懐中電灯などエコ家電を作るサンナイト・ソーラー社CEOマーク・ベント氏、同じくエコ家電のメーカー、フリープレイエナジー社のラウル・シャーマ氏、発展途上国に向けてエコ家電を提供するNPOプロジェクトHデザイン創業者のエミリー・ピロトン氏が登場。
電力供給の少ない発展途上国でも使用できるエコ家電を開発する各企業が、それぞれの商品がどのように社会的環境的ににメリットがあるかを解説。環境にやさしい素材と耐久性とのバランス、環境にも社会にもやさしく且つ利益を上げることの重要性などに議論が及びました。
第四部は、「CLOSING THE LOOP IN CRADLE TO CRADLE(ゆりかごからゆりかごへ、でループを閉じる)」。ゴミを出さずに商品ライフサイクルのループを閉じるにはどうすべきか、に関する議論。
モデレータはエンガジェット誌編集長ショジュア・トポルスキー氏。一般家庭からのリサイクルゴミを回収し企業と提供することでゴミ重量に応じてクーポン券を発行する新しいシステムを作り出したリサイクルバンク社CEOロン・ゴーネン氏、携帯電話のリサイクルを手掛けるリセルラー社のマイケル・ニューマン氏、充電式電池をリサイクルするリチャージャブル・バッテリー・リサイクリング社のカール・スミス氏、パナソニック環境部門のデービッド・トンプソン氏がパネラー。
リサイクルを手掛ける3社が、小売やメーカーを巻き込んで新たなリサイクル手法を提供するものの、リサイクル率を100%にすることは非常に難しい実状を訴え、リサイクルを徹底するためには、政府の規制、消費者への報奨システム、メーカー側の商品寿命を延ばす努力などが必須であることを主張。
カンファレンス全体を通して、メーカーが大きな新機能もなくバージョンアップを図り、次々に新商品を販売することに対する批判と、商品寿命を延ばすことの重要性を主張する意見が多かったように思います。
どんなにリサイクルしようと、エネルギー効率を上げようと、「売る」ことを目的に不必要な商品を販売し、消費者の購買意欲を煽り続けていては、本当の意味での環境対策とはいえません。
ここ数年、世界中で急速に環境対策が進められていますが、ある程度の対策を行った結果として、個々の対策だけでなく、収益で企業価値を評価する現在の経済システム自体が問題ということがわかってきた、ということなのではないでしょうか。
企業として、本当の意味でサステナブルになりえるか、真価が問われる時代に突入したように思います。
Greener Gadgets
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2009/03/03