ウフル Uhuru
(Photos Courtesy of Uhuru)
ブルックリンのデザイン集団"ウフル"が手掛ける、サステナブルな家具。
素材はすべて廃材、つまり、ゴミ。
可能な限り地元ニューヨークから、面白い素材があれば全米あるいは全世界から廃材を集め、再利用し、ブルックリンのスタジオで手作業で作る。
だから、すべてのアイテムが一点もの。
デザインは、長く使えるよう、シンプルでタイムレス。
廃材が持つ歴史や特性を活かしてデザインするから、ウフルの家具はひとつひとつにストーリーが息づいています。
たとえば、上の"ボードウォーク"テーブル。
マンハッタンから地下鉄で1時間足らずのビーチリゾート、コニーアイランドのボードウォーク(板張りの遊歩道)に使われていた木材を再利用し、板の組み合わせパターンを再現した作品。
コニーアイランドのボードウォークが作られたのは、1940年代のこと。
2010年に改装されるまで70年余の間、潮風や雨、太陽光の厳しい環境下で持ち堪えたのは、アマゾンの熱帯雨林に生息する"イペ"という頑丈な木材を使っていたから。
ところが、熱帯雨林の伐採により環境破壊が進行したため、新たにイペ材を輸入することが不可能に。
同等の堅牢度を持つ代替木材も見つからず、改装後のボードウォークは味気ない合板とコンクリート製になってしまいました。
ウフルは、この貴重なイぺの廃材を使用し、6製品から成る「コニーアイランド」シリーズを製作。
ボードウォークテーブルの他、コニーアイランドの象徴的存在である1927年建設の木造ジェットコースター「サイクロン」を再現したラウンジチェア、同じく1918年建築の観覧車「ワンダーホイール」をイメージしたコーヒーテーブルなど、各10点の限定コレクションを展開しました。
ブルックリン美術館に常設展示されている、「スタンダードチェア」。
製作途中で倒産した地元ニューヨークの家具メーカーから引き継いだ曲げ木の背もたれに、アルミメッシュの背板と鋼板のシートや前脚を合わせた、斬新なデザイン。
バーボンの街、ケンタッキー州バーズタウンで譲り受けた樽と、ニューヨークの消防車のバネを再利用した、「ビルジ・ラウンジチェア」。
一度きりしか使われず、熟成後に捨てられる運命にあるバーボンの樽。
時を経ることで生み出されるホワイトオーク材と鉄帯の絶妙な色味を活かし、機能的且つ味わいのあるラウンジチェアが完成。
ウフルが最初にデザインした作品のひとつ、「スツールン」。
地元の木工所から集めたくず材を座面に隙間なく詰め込み、斬新なデザインに作り上げた、まさにアップサイクルなプロダクト。
創業以来、一貫して人気の定番アイテム。
最近は、インテリアデザイン事業にも進出。
ウフルがデザインする斬新な家具や什器を用い、住居スペースからレストラン、店舗、展示会ブースまで、幅広い分野の内装を手掛けています。
デザインコンセプトは、家具と同様、サステナブルであること。
ただし、素材や生産工程がサステナブルであるだけでなく、顧客と密に面談し、個々の生活スタイルや考え方にあったデザインを提案。
時に、サステナブルなライフスタイルを指導することもあるのだそう。
素材が持つ個性を活かし、真に持続可能なモノづくりを考え、スタイリッシュに実現する、ウフル。
デザインとサステナビリティは両立しないという根強い主張、もう撤回されてもよさそうですね。
Uhuru
ウエブサイト:http://uhurudesign.com/
2012/07/04