パタゴニア、フェアトレード認証製品を拡大
サステナブルファッションの第一人者、パタゴニアが、フェアトレード認証済製品を大幅に拡大。それに伴い、ショートフィルムを公開しました。
フェアトレードとは、「公正な取引」のこと。
現在生産されている服のほとんどが途上国で生産されていますが、その多くで未だに「公正ではない取引」が行われています。
生産工場の労働者が十分な収入を得られなかったり、有害物質を扱っていたり。
たとえ先進国の企業が労働基準を作り、適正な金額を支払っていても、工場経営者が搾取していたり、守っていなかったり。
さらに、フェアトレードの製品は、これまでにも出回っていましたが、チョコレートやコーヒーなど農作物が中心で、フェアトレード認証のあるアパレル製品はほとんど存在していませんでした。
こうした問題に対処するため、パタゴニアは、数年前からフェアトレードに着手し、急速に取り組みを拡大しています。
取り組みを開始した2014年秋には、ひとつの工場で生産される10製品のみがフェアトレード認証でしたが、2016年秋には、6つの工場で生産される192製品がフェアトレードに。2017年秋には、13工場で生産される300製品がフェアトレードになる予定だそうです。
フェアトレードの意義
フェアトレードの認証機関は世界にいくつかありますが、パタゴニアがパートナーシップを組んでいるのは、フェアトレードUSA。
同機関のポール・ライスCEOは、ショートフィルムの中で、こう語っています。
「私たちは、グローバリゼーションの時代に生きています。世界中の農家や生産工場の労働者が、さまざまな形でグローバル市場に取り込まれています。私が問いかけたいのは、彼らはグローバル市場の犠牲者であるべきなのか、それともグローバリゼーションの恩恵を受ける側に含まれるべきなのか、ということです。」
現在、フェアトレードUSAの認証を得たアパレル・インテリア製品を作っている企業は、パタゴニアのほか、スポーツアパレルのプラナやインテリアブランドのウエストエルム、アパレル小売のREI、オーガニック下着ブランドのパクトなど、たくさんあります。
選択肢はあるのに、先進国の消費者の多くは、フェアトレードの製品を買っていません。
その理由として、多くの人が挙げるのは、”値段が高い”ということ。
フェアトレードの製品は、本当に値段が高いのでしょうか。それとも、そうでない製品が不当に安いのでしょうか。
パタゴニアでフェアトレードを担当するトゥイ・グエンさんは、ショートフィルムの中で、
「私たちはフェアトレード認証を、生産工程全体を通して平等に賃金を支払うという長い道のりの最初の一歩ととらえています」
と語っています。
社会は、私たちの考え方や行動次第で刻々と変化していくもの。
次に製品を購入する時、どこでどうやって作られたのか、その値段は高いのか安いのか、その製品を買うことによって社会にどんな影響があるのか、ちょっと立ち止まって考えてみませんか。
2016/10/17