オープンハウス・ニューヨーク
グリーンビルツアー
10月最初の週末、年に一度のニューヨーク建造物一般公開イベント、オープンハウス・ニューヨークが開催されました。
今年で6年目を迎えるこのイベント、今年は、おしゃれディスカウントストア、ターゲット社の協力により、なんと、350もの建造物を無料で見学できるというすごい企画。
トライベッカのアーティストロフト、ミッドタウンのオフィスビル、ウエストビレッジの高級マンション、教会、大学構内、美術館、そして、ワールドトレードセンター跡地に建てられた新ビルや、今後公園として公開が予定されているものの、未だ建造中のミートパッキングディストリクトの元高架線路、ハイライン、さらに、フリーメーソンのミーティングスペース、なんてものまで、なかなか見ることのできない建造物の内部を一挙無料公開。
場所によっては、予約が必要なもの、人数制限があるもの、バスでのツアーなど、形態はさまざまですが、とにかくたくさんのツアーやイベントが目白押し。
その中には、マンハッタン内のグリーンビルを見て周るツアーも。
グリーンホームニューヨークの協力により実現されたこのツアーには、イーストビレッジとロウアーマンハッタンの2つのコースが。
ロウアーマンハッタンコースは、3つの高級グリーンマンションを巡るツアー。
イーストビレッジは、一見普通のグリーンアパート、エコライブハウス、建築家のオフィス兼住居グリーンビル、の3つを巡るツアー。
参加したのはイーストビレッジグリーンツアー。
まずは、上の写真のカラフルな建物は、建築家のオフィス兼住居ビル。
そして、一番上の写真にあるとってもキュートな庭は、この5階建てビルの屋上。
屋根にはソーラーパネルを設置することで、ビルの電気代を削減。
雨水を集めて再利用するほか、家庭排水も濾過して再利用、換気扇などを使用しないパッシブ換気システムを導入、家電はエコ仕様のものを、トイレは2種類の水量を選べるものを、既存の建材やリサイクル建材を採用するなど、ビルごとまるごとサステナブル。
そして、上の写真は、建築時のコストパフォーマンスを優先させた、エコロジー&エコノミカルなグリーンアパート。
一見すごく普通のアパートですが、外壁の断熱材の位置を通常と変えることで、室内の熱を逃がしにくくする工夫をしていたり、NYのアパートでは一般的なセントラルヒーティング(アパート全体で暖房を一斉管理)を辞めたり、屋上の床を中央に向かって低くなるよう傾斜をつけ、雨水を集めたり(その水をトイレの 水などに再利用)。
通常のビル建設と同じコストでグリーンビルを建てることを目的にしているから、採光のために大きな窓を付けたり、リサイクル建材を使用したり、ソーラーパネルを設置したりというコストがかかるものは一切排除。
エコはお金がかかる、なんて迷信を覆してくれる、本物のグリーンアパートです。
続いて、グリーンライブハウス。
ライブハウスに天窓がついているところなんて、見たことありませんが、このライブハウスは、天窓から入る自然光を活用することで、電気代を削減。
水の再利用もしているし、建材はリサイクルだし、屋上には ソーラーパネルもルーフガーデンもあり、且つ観客席の椅子はバンブー製と、さまざまなこだわりが。
そしてこのライブハウスの目玉は、屋上のとても素敵なルーフガーデン。
建築時、水が洩れないように多大な苦労があったそうですが、ビルの間に咲く可憐な草花たちの生命力を感じる、美しいガーデンにしあがっています。
コンクリートの多い都会では、こうしたちょっとした場所に緑を植えることがとても大事。
しかも、NY州では、ルーフガーデンを作っているビルオーナーには30%の税払い戻しをすると決まったそうで、今後NYにルーフガーデンが大量発生しそう。
ここ数年で、ほんとうにグリーンビルが増えたなあ、と実感した、オープンハウス・ニューヨークでした。
Open House NY
ウエブサイト:http://www.ohny.org/
2008/10/07