カナダ、京都議定書不履行で訴訟に

Canada Kyoto Protocol

カナダの環境NPO「フレンズ・オブ・アース」が、京都議定書不履行を理由にカナダ政府を訴えました。

京都議定書の不履行が訴訟問題に発展したのは、カナダが世界初。

カナダは、「京都議定書履行法」という法律があり(2007年6月上院議会で可決)、京都議定書を遵守しなくてはならないことが法で定められている国。
今回の訴訟は、この法律に違反している、として、上記NPO団体がカナダ政府を訴えたものです。

京都議定書履行法では、「2013年までの毎年5月31日までに、環境相は気候変動計画を用意し、京都議定書の基準値を満たしていることを証明する測定値を記載しなくてはならない」、とされていますが、2008年5月31日時点で環境相がこの気候変動計画を用意していなかったことを、フレンズ・オブ・アース側は指摘しています。

カナダ政府では、昨年来、京都議定書を巡る議論が活発。
保守党の前首相が京都議定書を批准したものの、自由党のスティーブン・ハーパー現首相は、不可能な目標値であることを繰り返し言明、2007年に上記法案が議会で可決された際にも、「雇用や経済に悪影響を及ぼす法案を施行する意向はない」と断言しています。

京都議定書では、カナダは2008-12年に1990年時の排出量より6%温室効果ガスを削減する目標値が設定されていますが、ハーパー政権は、それに代わり、2020年までに2006年時排出量の20%を削減する、という独自目標を設定しています。

つまり、カナダ現政権は、京都議定書の短期目標に代わり、長期的な目標を設定したことになりますが、既に地球環境は危機的状況で、のんびりと長期で取り組むべき問題ではありません。

京都議定書を批准してないアメリカは、批准しながら履行を拒否するカナダより良いのか悪いのかわかりませんが、アメリカでは国家に代わって州や市など地方政府が独自目標を設定し、競うように環境対策を行っています。

国家間、国内間の入り組んだ政治的利害関係に振り回されることなく、政府を訴えたNPOフレンズ・オブ・アースのように、市民の力で政府を変え、地球を変えていくことが必要なのかもしれません。

ニュース出典:Friends of Earth

2008/06/25

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