ギャップ、生産工場で働く女性
100万人に教育機会を提供

アパレルブランドのギャップが、2020年までに同社生産工場で働く女性100万人に教育機会を提供することを発表しました。

PACE(Personal Advancement & Career Enhancement:個人の成長とキャリアの発展)と称するこの教育プロジェクトを同社が開始したのは、2007年のこと。

コミュニケーション、財務、時間・ストレス管理、問題解決、意思決定など、アパレル生産以外の場でも活用できる9つのスキルを習得するための授業を80時間まで受けられるというプログラム。

当初はインドの提携工場内で行われていましたが、徐々にインドネシアやスリランカなど他国の工場にも拡張。2012年にはクリントン元大統領が主宰する非営利団体クリントン・グローバル・イニシアチブと組み、工場内だけでなく地域全体のプロジェクトへと発展しました。

これまで既に10カ国3万人以上の女性に教育機会を提供してきましたが、今後、他の企業や団体と協業し、教育内容に13-18歳の若い女性向けのプログラムやPACEを修了した人向けのリーダーシッププログラムを加えることで、対象者数を100万人に増加することに。

同社以外にも、生産工場の労働者に教育機会を提供している企業はありますが、5年で100万人という規模は群を抜いています。

さらに同社は、独立研究機関に依頼してプログラムのこれまでの成果を検証。
調査によると、PACEを受けた女性の半数が自信を持つようになり、同じ工場内の他の女性より昇進が3倍早くなったうえ、工場の生産性が上がり、離職率や欠勤も減ったそうです。

でも、なぜ女性だけが対象なのでしょう。

ギャップによると、アパレル労働者の80%が女性。
にも関わらず、その多くが十分な教育を受けておらず、単純作業に従事しています。
特に途上国では、女性の権利が軽視され、虐待や暴力が起こることも少なくありません。
女性が男性と同等の権利を持つことは、社会・経済的な発展に不可欠なのです。

アパレル生産における労働問題は、生産地の政府や工場に任せているだけではなかなか改善されません。
発注側であるブランドが関与することで、大きな効果が期待できます。

PACEプログラムにより、若い女性が職務スキルを身につけ、100万人の半数である50万人の女性が自信を持ち、自国の経済発展に貢献できるようになれば、途上国の貧困問題改善に少なからぬ影響を及ぼすでしょう。

GAP
ウエブサイト:http://www.gap.com/

2015/09/30

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