フェイクファー or リアルファー?

Fur

フェイクファーとリアルファー、あなたならどちらを選びますか?

アメリカでは、フェイクファーを選ぶ人が急増中。
そんな消費者の需要を察知して、ラルフローレンやトミー・ヒルフィガーなど大手ブランドがリアルファーを使わないことを発表。
また、 大手百貨店が本物の毛皮をフェイクファーと偽って広告を出したり、アパレルメーカーが偽った素材タグを付けるなどの事件すら起こったほど。

以前なら、フェイクファーを本物と偽って売る業者ならいたのに、なぜそんな逆転現象が起こっているのかというと・・・ビーガンファッションの支持者が増えているからなのです。

ビーガンとは、肉など動物性のものを食さない菜食主義者、ベジタリアンよりももっと徹底して、牛乳や卵、魚、はちみつさえ食さず、動物性のものを使用すらしない人のことをいいます(Vegan Societyより)。
ビーガンファッションとは、そうしたビーガンのためのファッション、つまり、動物を一切使用していないファッションのこと。
だから、毛皮はもちろんのこと、レザーやウール、シルク(蚕=虫も動物の一種と考えるため)などもビーガンファッションには厳禁なのです。

最近では、オーガニック素材やナチュラル素材を使ったグリーンファッションを指示する人が増えており、その影響で、無駄に動物に害を与えるファーやレザーのアイテムもあまり着たくない、という人も多くなってきているので、ビーガンファッション支持者が必ずしもビーガンやベジタリアンではないこともあります。

そんな理由から、フェイクファーの需要が急増しているのです。
技術の発達により、リアルファーよりも肌触りが良いフェイクファーもありますし、専門家でないと区別がつかないリアルなフェイクファー(?)もあるので、あえて動物を不当に扱ってまでリアルファーを着る理由もありませんよね。

特にニューヨークでは、厳格なビーガンが多く、ファッションショーで毛皮を着たエディターやデザイナーにペンキをかけるなど、過激な手段でリアルファーの撲滅を訴える団体もありますし、そこまでではないにしても、街でリアルファーを着て歩いていると、嫌なことを言われたりするので、ビーガンでなくてもファーを着るのはためらわれます。

もちろん、ビーガンが全員過激派なわけではないですし、PETA(People for ethical treatment of animals)による、毛皮や皮を剥ぐために動物に対して行っている映像や資料などを見ると、ファッションという人間のエゴによって、動物を搾取することに疑問を抱かない人はいないでしょう。
ただ、地理的に動物の皮や毛皮をかぶらないと寒くて生きていけない国、あるいは、野菜や穀物が育たない土壌なので動物を狩りして生きるしかない土地もあるでしょうし、倫理的な理由で動物の搾取を一切やめてしまえば、食物連鎖が壊れてしまうかもしれません。
だから、一切合切禁止するのではなく、不必要な搾取は行わない、不当な扱いはしない、そして人間には宗教なり言論なり個々に自由な考え方があってしかるべきですから、着たい人は着る、食べたい人は食べる、着たくも食べたくもない人はそうする、それでよいのではないでしょうか。

良くないのは、そうした個々の考えに基づいた行動ができなくなってしまうこと。
最初に述べたように、リアルファーをフェイクと偽ったニセタグ、ニセ広告など出されたら、ビーガンは服飾専門家ではないので、見ただけで違いはわかりませんから、誤って購入・着用してしまい、悲しい思いをしてしまいますよね。

そのため、ニューヨーク州では07年から、本物の毛皮なら本物と書くこと、偽ったことを書いたら罰を受ける、という毛皮ラベル法が施行されています。
実は、国の法律で「The Fur Labeling Act(毛皮ラベル法)」というのがあって、その法律では、150ドル以下の商品は本物の毛皮であってもラベルを付けなくて良いことになっていたそうなの ですが、その法律の穴を埋めるべく、この州法ができたとのこと。
似たような法律は、マサチューセッツとウィスコンシン州でもあるそうです。

ということで、ここ数シーズン、ファーが流行っていましたが、リアルが良いのかフェイクが良いのか、そしてファッションが社会や環境に及ぼす影響など、ちょっと考えてみたいですね。

2008/04/17

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