イジー・レーン Izzy Lane
イギリスのエシカルファッションブランド、イジー・レーン。
動物愛護を謳うエシカルブランドですが、動物の毛さえ使わないビーガンブランドとは一線を画し、イジー・レーンではウールやカシミアなど動物の毛素材を中心に使用しています。
実は、イジー・レーンが使うウールは、ちょっと特殊。
牧羊業界では、体が小さすぎたり、歳を取りすぎたり、白い体に一ヶ所黒い斑点があったり、さまざまな理由で食肉・羊皮の規格に合わない羊を処分しています。
元々ベジタリアンだったデザイナーのイソベルさんは、この話を聞き、食肉と同等の値段を払ってこうした羊たちを保護することに。
そして、保護した羊を自然な環境下で育て、その羊毛を使ったブランド「イジー・レーン」を立ち上げたのです。
また、絶滅危機に瀕している種を中心に保護しているため、業界の無慈悲な殺戮から動物を守るだけでなく、種の保存にも一役買っています。
さらに、イソベルさんが憂慮したのは、ファッション業界の現状。
国際化が当然の現在、イギリスでも羊毛のほとんどをオーストラリアやニュージーランドからの輸入に頼り、編み・織り事業も海外工場に委託しています。
そのために、国内の紡績工場や織物工場が続々と閉鎖の憂き目にあっています。
工場が閉鎖されれば、紡績・織物の技術が失われてしまいます。
創業100年を超える国内の織・染工場を守り、伝統ある技術を継承するため、イジー・レーンではすべての商品を国内で生産しています。
イジー・レーンのコレクションは、シンプルで長く着られそうなものばかり。
せっかく保護されて大切に育てられた羊から刈り取られた毛、そして歴史ある古い工場で丁寧に編まれた服なのに、たった数シーズンで捨ててしまうなんて考えられません。
だから、デザインも飽きのこないシンプルなものが良いのは当然です。
2010春夏シーズンは、鮮やかな色も取り入れ、都会的なスタイルも登場しましたが、イジー・レーンの基本は、あくまでシック&カントリーな長く愛せるスタイル。
愛らしい羊のことを思いながら大切に服を着るって、なんだかとっても素敵な気分。
服ごとに刈られた羊の顔写真なんかが付いていたらもっと愛着が沸きそうですが、そのために必要な作業や使用する紙やインクのことを考えたら、やっぱり不必要なものは省くのがベスト。
間接的にでも、絶滅危機にある羊たちを守る機会を与えてくれるイジー・レーンの服、長く大切に着たいものです。
Izzy Lane
ウエブサイト:http://www.izzylane.com/
2009/10/02