農薬残留量が多い・少ない野菜・果物ランキング
(Photo by tpmartins)
人の健康と環境保全のために活動するNPO、環境作業部会(Environmental Working Group)が、農薬(殺虫剤)残留量が多い野菜・果物ランキングを発表しました。
残留量が多い野菜・果物
- りんご
- セロリ
- いちご
- 桃
- ほうれん草
- ネクタリン(輸入品)
- ぶどう(輸入品)
- ピーマン
- じゃがいも
- ブルーベリー(国産)
- レタス
- ケール・色つき葉野菜
- パクチー
- キュウリ
- ぶどう(国産)
残留量が少ない野菜・果物
- たまねぎ
- とうもろこし
- パイナップル
- アボガド
- アスパラガス
- 豆
- マンゴー
- なす
- メロン(国産)
- キウイ
- キャベツ
- すいか
- さつまいも
- グレープフルーツ
- マッシュルーム
このランキングは、米農務省とFDA(食品医薬品局)による2000-09年の調査データを元に作られたもので、消費量の多い野菜・果物53種類を対象としています。
調査は、各野菜・果物を洗って皮をむいた状態で行っています。
ランキング作成にあたり使用した基準は、以下6項目。
各々を1-100に点数化し、全項目の点数を足した数値によって順位を決定しています。
- 殺虫剤が検出された比率
- 2種以上の殺虫剤が検出された比率
- 1つのサンプルから検出された殺虫剤の平均数
- 検出された殺虫剤の平均量
- 1つのサンプルから検出された殺虫剤の最大数
- 検出された殺虫剤の総数
こんなに多い残留量
残留量が多いランキング6位のネクタリンからは検査したすべてのサンプルから殺虫剤が検出され、1位のりんごは97.8%、順位外のプラムは97.2%、野菜では、2位のセロリ96%、パクチー92.9%、じゃがいも91.4%に殺虫剤が残留していたそう。
2種類以上の殺虫剤が検出された果物は、りんご92%、ネクタリン(輸入)90.8%、桃85.6%、野菜はセロリが90%近く、パクチー70.1%、ピーマン69.4%。
ぶどう(輸入)は1つの検体から14種の殺虫剤が検出され、いちご・ぶどう(国産)・セロリからは13種、ピーマン11種、葉野菜からは10種が検出されたそう。
栽培の際に使用された殺虫剤の種類は、ピーマン97種、キュウリ68種、葉野菜66種、桃57種、りんご56種、ラズベリー51種と、意外にも野菜の方が使用種類が多いとのこと。
一方、残留量の少ないランキングでは、アスパラガス、とうもろこし、たまねぎ、パイナップル、マンゴー、アボガドは、殺虫剤が検出された比率は10%以下だったそう。
2種類以上の殺虫剤が検出された野菜はあまりなく、目立ったさつまいもで6%以下。果物は、グレープフルーツ17.5%、すいか9.6%。
また、パクチーは44%に33もの認可されていない農薬が検出されたのだそう。
たとえ残留量が少ないランキングに入っていても、グレープフルーツは55%、スイカは28.1%から1種の殺虫剤が検出されており、残留可能性は半分あるいは1/4以上に上るので、注意が必要です。
ただし、このランキングでは殺虫剤の性質は考慮しておらず、たとえば発ガン性があると考えられる殺虫剤も脳や神経系に影響があるとされる殺虫剤も同じ点数でカウントされており、性質によって優劣をつけたり点数を変えたりはしていません。
各殺虫剤の危険性が明らかにされていない現在では、このような手法を採らざるを得ないのです。
一度や二度の摂取なら影響は少ないのかもしれませんが、これら殺虫剤が長期的継続的に体内に蓄積されたらどうなるのでしょう。
特に発達途中の子供や妊婦(生まれてくる子供)に対しては、多くの科学者が神経系、ホルモン、脳への影響を懸念しています。
意外に簡単、回避方法
解決策は、オーガニックの野菜や果物を食べること。
ただそれだけです。
人間の体内に入るものに対して、なぜ農薬や殺虫剤を使わなくてはならないのでしょう。
農薬使用により収穫量が増えたら、農家や流通業者、小売店が儲かるからでしょうか。
消費者の健康より儲けが重視されるべきなのでしょうか。
農薬や遺伝子操作種に対する規制がなかなか進まないのは、なぜなのでしょう。
それらを販売する大企業と政府が癒着しているからでしょうか。
虫だけに影響があって人間にはまったく影響がないという都合の良い薬品など、本当に存在するのでしょうか。
殺虫剤は、収穫を阻む虫を殺してしまうもの。
人間にとって害と見られる虫でも、生態系の中ではなくてはならない有益な存在のはず。
その虫を一掃することで新たな虫害が発生し、また別の殺虫剤を使わざるを得なくなるのです。
殺虫剤が土中に浸透し、地下水に浸み込めば、環境にも影響を与えます。
その影響は巡り巡って、わたしたち人類の健康に影響を及ぼすのです。
わたしたち消費者ができるのは、自分自身で危険を回避すること。
庭や市民農園で無農薬野菜を自家栽培する、それが難しい場合は、オーガニック食品を購入すればよいのです。
無農薬にすると多少収穫は減るかもしれませんが、その地で育ちやすい野菜や果物を栽培し、収穫できた分だけを頂くのが本来の姿ではないでしょうか。
そして、良い概念や活動を周りに広めていくことです。
オーガニック食品が売れ、農薬や殺虫剤を使用した食品が売れなくなれば、農家や小売はオーガニック食品を栽培・販売ようになるはずです。
ひとりひとりの行動は小さくても、社会を変える大きな力になるのではないでしょうか。
このランキングを見て、みなさんは何を思い、どんな行動を起こすでしょうか。
Environmental Working Group
ウエブサイト:http://www.ewg.org/
2011/06/13