ホールフーズ、掃除用品の評価システム導入

Whole Foods Market Eco Scale
(Images courtesy of Whole Foods Market)

オーガニックスーパー最大手のホールフーズが、独自の掃除用品評価システム「エコスケール」の導入を発表しました。

エコスケールとは、各商品を環境・人体への負荷が低い順に、緑、黄、オレンジ、赤と4段階に評価分類するシステム。
最も負荷が高い赤の評価を得た商品は、ホールフーズでは販売できません。
基準は厳格で、第三者機関による証明が必要となります。
ホールフーズに商品を卸すメーカーは、来年のアースデイ(2011年4月22日)までにすべての掃除用品の評価を完了し、商品パッケージに緑、黄、オレンジのマークを表示しなければなりません。

Whole Foods Market Eco Scale

オレンジレベルを得るためには、以下の条件をすべて満たしていなければなりません。

  • 有害物質として知られるリン酸・塩素、人工着色料を使用していないこと
  • 動物実験を行っていないこと
  • ホルムアルデヒド供与体、あるいはホルムアルデヒドを発生する可能性のある保存料を使用していないこと
  • 環境や人体に著しく危険な物質を使用していないこと
    (アルキルフェノールエトキシレート、ベンゼンアルキレート、青色1号など19の禁止物質が指定されています)
  • すべての原料が表示されていること

黄色レベルを得るためには、オレンジの条件をすべて満たしたうえで、以下の条件も満たす必要があります。

  • 自然由来の香料を使用していること
  • DEA、MEA、TEAなど、ニトロソアミンや他不純物を含む可能性のある界面活性剤を使用していないこと
  • 環境や人体に少しでも危険な物質を使用していないこと
    (ベンゾフェン4、カルボマー、ポリアクリル酸など24(オレンジレベルの19物質を含めると43)の禁止物質が指定されています)
  • 再生可能でない原料で作られた、合成・石油由来の増粘剤を使用していないこと

最高ランクの緑レベルを得るには、オレンジと黄色の条件に加え、以下の条件を満たしていなくてはなりません。

  • 100%自然原料を使用していること
  • 石油由来の原料は使用していないこと
  • アルコールエトキシレート、アンモニウムカルボン酸、カルボキシメチルセルロースなど37(オレンジ+黄色分を含めると80)の禁止物質を使用していないこと

これらの条件を見てみると、現在市場に出回っている商品が如何に環境や人体に危険であるかがよくわかります。
緑レベルの商品は、環境や人体への悪影響が限りなく低く安心して使えるもの、黄色やオレンジは危険を覚悟のうえで使うべき商品といえるでしょう。

掃除用品の原料規制

本来このような評価システムは政府や自治体が行うべきでしょうが、なぜホールフーズという一小売企業が行っているのでしょうか。

実は、米政府は掃除用品に対して全原料の表示すら義務付けていないのです。

同社の調査によると、3/4の成人が政府により原料表示が義務付けられていると誤認しており、実際にはすべての原料を記載している商品は非常に少ないにも関わらず、2/3の成人が多くの商品が全原料を表示していると考えていたのだそう。

環境にやさしいと訴えている商品は星の数ほどありますが、そのうちどれが本物でどれがグリーンウォッシングなのか、私たち消費者にはなかなか見分けがつきません。
原料表示を見て判断するのがやっとですが、危険な原料が故意に記載されていないのならば、判断のしようがありません。
エコスケールのような、誰にでもわかりやすく信頼できるシステムが導入されてはじめて、本当に環境にやさしい商品を選ぶことができるようになるのです。

エコスケールの導入が完了するのは来年の4月ですが、既に、ホールフーズのプライベートブランド14商品、ベター・フォー・ライフ、エコベール、グリーンシールド、メソッドの4ブランドの34商品は、現時点で評価が完了しているのだそう。

アメリカでは、多くの企業がこのような評価システムの導入に取り組み始めていますが、期限を設定して規制を行い実際に導入を開始したのは、同社が業界初。
これを機に、安全を求める多くの人が、ホールフーズで買い物をするようになるでしょう。
そして、脅威を感じたライバル小売店が、同様の基準やエコスケールを導入し、それが業界標準となれば、消費者は安心して商品を選ぶことができるようになります。

政府の規制を待っていたり、ただ不満を口にしているだけでは、物事は何も進展しません。
企業が率先して社会や環境に良い行動を行い、個々人がそうした企業を支援する、あるいは同じ考えを持つ人同士でコミュニティを結成し、企業や政府に対して公式に意見を述べることで、世の中に変化を起こすことができるでしょう。

Wholefoods Market
ウエブサイト:http://wholefoodsmarket.com/

2011/04/27

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