パタゴニア創業者、イエール大学で講義

ベストセラー本「社員をサーフィンに行かせよう」に続き、「レスポンシブル・カンパニー

本日イエール大学にて、共同執筆者のヴィンセント・スタンレー氏との共同講義が行われました。

サステナビリティに関するリーディングカンパニーとして名高いパタゴニアの創業者が、次世代を担う学生に対し、何を語ったのでしょう。

講義は、モデレータのロバート・マッシー氏と学生からの質疑応答形式。

マッシー氏からの、米企業として社会や環境のために何をすべきかという問いに対し、

「小さくなること」と「自然から学ぶこと」を挙げるシュイナード氏。

自然は多様性を好み、モノカルチャーを嫌う。
一方、人間はすべてのものを一ヶ所に集め、集中管理しようとする。
テクノロジーがすべてを解決できるわけではない。
テクノロジーは雇用を脅かす。
労働集約的であれば雇用を維持できる。
アメリカは大きすぎるため、各州の異なる問題を妥協してひとつの解決策にまとめようとするが、妥協で問題を解決することはできない。大企業も同じこと。
と、アメリカや現代社会のさまざまな問題点を挙げるシュイナード氏。

限られた地球資源の中で、企業がこの先も進化・繁栄するためにはどうすべきか、という問いに対しては、

「シンプルであること」とシュイナード氏。

株主の意向に左右されない非公開企業だから正しい事業ができるのか、という問いに対し、

非公開企業は他にもたくさんあることを忘れないで欲しい、とスタンレー氏。

シュイナード氏は、公開企業であるエンロンがどのような事業を行っていたのか誰にもわからなかったことを例を挙げ、公開企業はパタゴニアが行っているようなリスクを取れないと批判。
さらに、個人的に株式市場を好まないこと、株を一切保有していないこと、代わりに森を持っていること、そして、森の木々は市場動向に関わらず毎年10%成長を続けることを主張。

学生から、独自のオルタナティブな財務指標があるのかと聞かれると、あからさまに怪訝な顔になるシュイナード氏。

「利益がどうとかそんなことは知ったこっちゃない。この事業を行っているのは、地球を守るためにやらなければいけないことをやるためだ。それが、パタゴニアが今でも存続している理由だ」
と断言。

適正な企業規模はという問いに対しては、そのことは常に考えていると明言を避けたものの、カヤックをするときは荷物を持ち過ぎてはいけないこと、スキーの習得時には株式市場のように一気に15%上達することはなく段階的にうまくなること、自分も社員も食事代を稼がなければならないこと、を挙げるシュイナード氏。

生産拠点をアメリカに移す予定はあるかという問いに対し、その予定はないとスタンレー氏。
アパレルのサプライチェーンは複雑なのでアメリカ国内で完結できない旨、他国でも販売しているので国内生産が適切だとは思わない旨を理由として列挙。

社内文化に関しては、金のために働こうとしない人を採用していること、肩書きによって特別扱いをせず全社員を同等に扱うこと、過程よりも成果を重視することが重要、とシュイナード氏。

その他、悪いことは意図せず起こることが多いので教育が大切であること、自分が行う行為の影響を常に考えること、安いものを購入して何度も買い替えるのではなく一生使えるものに投資すること、などを指南。

40年のパタゴニアの歴史から、さまざまなことを学び、私たちに伝えてくれるシュイナード氏とスタンレー氏。
1時間半にわたる全講義内容は、こちらから見ることができます。

Patagonia
ウエブサイト:http://www.patagonia.com/

2012/09/27

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