オーガニックとナチュラルの違い

Organic vs Natural

アメリカでは、食品やパーソナルケア商品などで「オーガニック」や「ナチュラル」という表記をよく見かけますが、その違いは何なのでしょうか。

食品

米農務省は、「オーガニック」を以下のように定義しています(NOP)。

「オーガニックとは、認可された手法で生産された食品、あるいはその他農業製品のことを指す、表示用の用語である。その手法とは、資源の循環を育み、生態系のバランスを整え、生物多様性を保護することが可能な、文化、生物、機械を使用して行う農法を統合したものである。合成肥料や下水汚泥、放射線照射、遺伝子操作は使用しない。」

簡単にいうと、有毒な農薬や化学肥料、合成物質を使用せず、環境や人体にやさしい方法で生産した食品ということです。

上記の定義に従い、農務省の認証基準(USDAオーガニック)を満たした企業や団体のみが、商品に以下の表記を使用して良いことになっています。

  • 「100% Organic」 (オーガニック比率100%)
  • 「Organic」 (オーガニック比率95%以上)
  • 「Made with Organic ingredients」 (オーガニック比率70%以上)

成分中のオーガニック比率が70%以下の製品は、上記文言のみ使用でき、USDAオーガニックマークは使用できません。
認証マークがついている製品は、オーガニック比率が95%以上のものです(詳細は、USDAオーガニック参照)。

一方、「ナチュラル」に関する定義は、肉類に関してのみ、米農務省が規制しています(アメリカ食品ラベルの読み方)。
肉類のパッケージに「ナチュラル」と表記するためには、以下の定義を満たしていなければなりません。

「肉や肉類の生産に使用される家畜には、成長促進剤、抗生物質、哺乳類動物・鳥類・水生生物由来の飼料を与えてはならない。」

肉類以外の食品に対する「ナチュラル」の定義や規制、認証はありません。

そのため、「ナチュラル」ということばが持つ体や環境にやさしいイメージを悪用する企業が多く、「ナチュラル」と記載された食品に自然由来でない成分が混在していたことによる訴訟が数多く起こっています(スナック菓子メーカーのフリトレー、「オールナチュラル(天然成分)」表記で集団訴訟)。

現状では、「ナチュラル」という表記のある食品が通常の食品よりも体や環境にやさしいということはなく、単に企業がPR用途で「ナチュラル」ということばを使用しているに過ぎないと考えた方がよいでしょう。

 

ビューティ・ヘルスケア用品

ビューティ・ヘルスケア専用のオーガニック国家認証はありませんが、食品用のUSDAオーガニック認証をビューティ・ヘルスケア用品に適用できます(NOPFDA)。

よって、食品と同様、ビューティ・ヘルスケア用品にも、原料・成分のオーガニック比率により、

  • 「100% Organic」 (オーガニック比率100%)
  • 「Organic」 (オーガニック比率95%以上)
  • 「Made with Organic ingredients」 (オーガニック比率70%以上)

と表記することが可能です(詳細は、USDAオーガニック参照)。

一方、「ナチュラル」に関しては、国による規制、認証、定義はありません。

ただし、民間の認証システムはあります。

1. Natural Product Association(NPA)

ひとつは、Natural Product Association(NPA)という非営利団体による「ナチュラル」認証。

NPA
(Image Coutegy of National Products Association)

NPAは、「ナチュラル」を以下のように定義しています(NPAウエブサイトより抜粋)。

「原料が自然界に存在する再生可能な資源由来のものであり、石油化合物であってはならない。」

NPAのナチュラル認証を得るためには、以下の基準を満たさなければなりません。

  • 水以外の成分中の天然成分比率が95%以上
  • 合成物質は、NPAが認可する物質のみ使用可能
  • 合成物質は、以下の場合のみ使用可能
    • 代替成分が簡単には見つからない場合
    • 査読が行われた第三者機関の文献により、健康被害を及ぼす可能性がないと指摘された場合
  • 以下の合成物質は使用禁止
    • 査読が行われた第三者機関の文献により、健康被害を及ぼす可能性があると指摘されているもの
    • 合成シリコンや石油化合物を含むもの
    • パラベン、ラウリル硫酸ナトリウム、ペトロラタム、鉱油、パラフィン、合成日焼け止め成分(アヴォベンゾン、オキシベンゾン)、グリコール、フタル酸エステル、ラウレス硫酸ナトリウムなどエトキシ化成分、エタノールアミン、合成ポリマー、ホルムアルデヒド供与体、合成香料などNPAのリストに記載されている物質
  • 食品医薬品局(FDA)により安全と認められている成分と生産方法を採用し、重金属の残渣がなく、その他混入物質はFDAや環境保護庁(EPA)が認めている範囲の残渣量を超えないこと、
  • 正確に正直に成分を開示し、すべての成分を国際的に知られている名称で(INCI登録名)で記載すること
  • 容器包装の過半数は、再利用可能、あるいはポストコンシューマ・リサイクル製の素材を用いること
  • 法で必要とされない限り、成分や製品の動物実験を避けること
  • 調合法を変更する場合は、生産開始前にNPAに知らせなければならない

NPAは清掃用品などホームケア製品のナチュラル認証も行っています(NPA Home Care)。

2. NaTrue

もうひとつは、ベルギーの認証機関NaTrue(ネイトゥルー)による、パーソナルケア製品の「ナチュラル」認証。

NaTrue
(Image Coutegy of NaTrue)

NaTrueでは、「ナチュラル」を以下のように定義しています(NaTrueウエブサイトより抜粋)。

「”ナチュラル”化粧品とは、自然物質のみで製造された化粧品を指す。
自然物質とは植物界、無機ミネラル界、動物界(脊椎動物の死体から得られたものは除く)由来の物質、これらの混合物質、あるいは『反応物質』のこと。」

NaTrueの「ナチュラル」認証を得るためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 物理的方法による生産、精製、抽出のみ容認
  • 酵素・微生物を用いる場合は、自然発酵の過程として自然界に存在するものであれば可
  • 放射線処置は不可
  • 自然物質による脱色は認めるが、塩素(次亜塩素酸ナトリウム)は使用不可
  • 最終製品、酵素、微生物における遺伝子組み換えの使用は、EUのオーガニック農法基準に準ずる
  • 自然香料・精油はISO基準を満たすもののみ使用可。合成の自然同一香料や自然香料の合成誘導体の使用は不可
  • 水の使用は認めるが、最終製品中の自然物質比率算出の際に対象となるのは、植物から直接得られる水分(植物の汁液)のみ
  • 自然同一の防腐剤のみ使用可能。ただし、パッケージにその旨を明記する
  • 自然同一の無機色素とミネラルは使用可
  • 準自然物質は、自然由来の原料(油脂、オイル、ワックス、レシチン、単糖類、オリゴ糖、多糖類、たんぱく質、リポたんぱく質等)を化学的処方や生物工学的製法によって得られたもののみ使用可
  • 上記準自然物質の使用方法は次のもののみ可。加水分解(鹸化を含む)、中和、水を分離する凝縮、エステル化、エステル交換、水素添加、水素化分解、脱水素、グリコシル化、リン酸化、硫酸化、アセチル化、アミド化、酸化(酸素、オゾン、過酸化物による)および熱分解
  • 自然界に存在するが現在の技術では十分な量が収穫できない準自然物質は使用可
  • 洗剤性界面活性剤は完全に生分解するもののみ使用可
  • その他、認証基準に明記されていない補助材料や触媒(酵素や微生物等を含む)は、現時点で技術的に不可避、または持続可能性向上の一環としてエネルギー効率改善の目的で使用される場合のみ許可。ただし、使用後完全に除去されるか、技術的に可能な限り排除し、最終製品に影響を及ぼさない程度の微量に留める
  • 製造、加工、充填時、あるいは容器などにより、不適切な物質が製品の中に混入しないように細心の注意を払う

NaTrueは、パーソナルケア製品のオーガニック認証も行っています。

 

このように、オーガニックとナチュラルは、大きく異なります。
ナチュラルの表記は未だ曖昧なところがあるので、パッケージに記載されている言葉に惑わされず、認証マークがついているものを選ぶとよいでしょう。
ただし、認証済ナチュラル製品でも、原料の栽培時に農薬や化学肥料を使用している可能性があるので、できる限り認証済オーガニック製品を選ぶとよいでしょう。

2011/12/28 訂正
2008/05/16

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