虫を食べて世界の食を変えよう!
菜食ならぬ「虫食」を推進するエントー ento

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(Photos Courtesy of ento)

イモムシのコロッケに、バッタのパテ、コオロギのフライ・・・なんだかゲンナリしそうな響きですが、5年後にはこうした料理がレストランやスーパーで当たり前のように販売されているかもしれません。

ロンドンの4人の大学院生が立ち上げたエントーは、「虫食」を推進する食品会社。

欧米では、食べ物を小さくキレイに盛り付けた「ベントーボックス(弁当)」はかわいい食品デザインの代表例。
料理やパッケージのデザインを工夫して虫食に対する抵抗をなくしたいという思いから、ベントーとエントモロジー(昆虫学)を掛け合わせて生まれたのが、「エントー」というネーミング。

虫の姿を想像するとどうにも食欲がそがれますが、蜂蜜蛾の幼虫はピスタチオの味、イナゴはクルミの味、コオロギはフライにするとソーセージの味がするのだそう。

すり身にして他の食材と混ぜてしまえば、見た目もキレイで食べられそうですが、それにしても、いったいなぜ、虫?

実は、そこには深い理由があるのです。


Ento - the art of eating insects from Ento on Vimeo.

増える一方の世界人口と、急速に豊かになる途上国。
それに伴い世界中で食の需要は増加しているのに、農畜産業ではこれ以上の生産性向上は望めません。
このままの状況が続けば、2050年には現在の2倍の食糧が必要になります。

なんとか世界の食糧安全保障問題を解決する方法はないものか ― 4人の若者は議論を重ね、肉食が問題を悪化させている要因ではないかと考えます。

畜産業は、資源効率の悪い産業。
動物の餌用に大量の穀物が栽培され、その農業と動物の飼育のために広大な土地を使用します。
さらに、動物のゲップや排泄物から、また製品の輸送時には車から温室効果ガスが排出されます。

肉に代わる食材があれば、こうした問題を解決できるかもしれない、と考えたエントー。
そこで生まれたのが、「虫食」という概念なのです。

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虫は、たんぱく質が豊富で脂質が少なく、人間が食べない雑草や植物の葉を餌とする生物。
それに、動物と比べて飼育するための環境負荷が低いと考えられます。

世界には、当たり前のように虫を食べている国が多数あり、人間が虫を食べるのはおかしいことではありません。
ただ、洗練された食品に慣れてしまった先進国の人々は、なんとなく気持ちが悪いから虫を食べていないだけなのです。

しかし、よく考えれば、先進国でも、虫であるミツバチが体内から出した蜂蜜を好んで食べているし、エビも姿かたちは昆虫と大して変わりません。
それどころか、私たちは生の魚や動物の肉すら食べています。

かつて、生魚なんて気持ち悪くて食べられないと考えられていたアメリカやヨーロッパでも、今では寿司が人気のメニュー。
虫も、慣れてしまえばよいのです。

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虫に慣れるための手法として、エントーが重視したのは、デザイン。

それもそのはず、メンバーは全員、アート系大学院でイノベーションデザイン工学を学んでいた大学院生。
デザインによって社会に貢献することが、彼らの使命でもあるのです。

虫食をアートととらえ、デザインを工夫することで虫食への抵抗感をなくし、いずれ虫食が一般化した暁には、食材として虫をそのままの形で販売できるようになると、エントーは考えています。

確かに、おしゃれなレストランなら、虫を使った料理でもなんとなく入ってみたくなるかもしれませんし、キュートなパッケージに包まれていたら、イナゴだっておいしそうに見えてくるかもしれません。

アイディアを発表するやいなや、数々のデザインコンペで入賞し、事業化のための資金を獲得したエントー。
現在は、ロンドン市内のイベントを中心に虫料理のケータリングを行い、今後は、レストランの出店や冷凍食品の販売によって、虫食の普及を目指しているのだそう。

これまで誰も思いつかなかった、「虫食」という概念。
エントーのアイディアが、食の未来を変えることになるかもしれません。

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ウエブサイト:http://www.eat-ento.co.uk/

2013/04/12

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