ナイキ、アディダス、H&Mに続き、
ザラとリーバイスも有害物質排出撤廃を宣言

Zara Detox
(Photo by scallej)

多くのアパレル企業が、生産工程で有害物質を海や川に流していること、ご存知ですか。

こうした行為を禁止しようと、2011年から環境NPOのグリーンピースが「デトックス」キャンペーンを展開(詳細はこちら)。

これを受け、これまでに、ナイキ、アディダス、プーマ、H&M、エスプリ、欧州のファストファッションブランドC&Aやマンゴー、中国のスポーツアパレルのリーニンが、有害物質の排出撤廃を宣言しています。

そして、ザラとリーバイスが、先月今月と、立て続けに排出撤廃を宣言しました。

ファッション製品に含まれる有害物質

ファッション製品は、生産時にさまざまな化学物質が使用されます。
その中には、人体に有害な物質も含まれています。

先進国では使用が禁止・規制されている物質でも、生産している国では規制がなかったり、有名ブランドの服であっても別会社が生産しているためブランド側が規制を徹底していなかったりと、さまざまな事情により、今でも有害物質が海や川に排出されています。

グリーンピースが2011年に発表した調査結果では、環境ホルモン物質のノニルフェノール・エトキシレートに特化していましたが(詳細はこちら)、先月発表された最新の調査結果では、アゾ染色により生成される発がん性物質アミン類や、有害なフタル酸エステル類が高濃度で検出されたことにも言及。
ノニルフェノール・エトキシレートも、依然141製品中89製品で検出されたそう。

これらの調査結果を元に、グリーンピースは2年にわたり企業に規制を促し、数々の抗議活動を行ってきました。
そして、多くのアパレル企業がこれに同意。
有害物質の排出量をゼロにすることを宣言しています。

ザラとリーバイスの方針

今年11月末には、ザラの親会社であるインディテックスが"排出量ゼロ"宣言を表明。
2020年1月1日までに、法的に規制されている物質だけでなく、人体に有害なすべての物質の排出量を、ザラを含む傘下の全ブランドの全生産工程でゼロにすることを約束しました(Inditex)。

さらに、具体的な行動計画として、 2013年4月末までに改訂版の禁止物質リストを公表し監査を受けること、2013年3月末までに中国の10工場と他国の少なくとも10の工場で、工場ごとに排出した有害物質の情報を公開すること、それ以外の中国の30工場と他国の少なくとも50の工場では2013年12月までに対応することなど、厳格な方針を打ち出し、今後8週間の間に更なる実行計画を発表することを約束しました。

一方、リーバイスは、公式なプレスリリースとしてではないものの、12月に入ってからウエブ上で声明を発表(Levi's)。
ザラと同様に、2020年1月1日までにサプライチェーン全体ですべての有害物質の排出量をゼロにすることを約束し、具体的な行動計画を発表しました。

グリーンピースの過激な行動と影響力

グリーンピースは、特定のブランドをターゲットにし、店の前で違法スレスレの抗議活動をするなど、攻撃的な手法を採るのが得意な団体。
そのため、あまり良い感情を抱いていない人もいるようですが、こうでもしないと大きな権力を持つ大企業は、なかなか行動を起こさないのでしょう。

多くの企業は、環境や人々の健康よりも売上や利益を重視しがち。
国や自治体の規制を待っているだけでは、何も変化は起こりません。
企業の行き過ぎた行為を統制するのは、こうした非営利団体や、私たち個々人の役割なのです。

ファッションは、本来必要のないもの。
にもかかわらず、ファッションは、加工や染色、物流などにより環境を汚染しています。
それによって、気候変動が悪化し、自然災害となって私たちに返ってきているのです。

私たちにできるのは、できる限り環境にやさしい製品を選ぶこと。
そして、そうした努力をしている企業を支持すること。

目前に迫ったクリスマス。
大切な人に贈るプレゼントは、環境に配慮したものを選びたいですね。

Greenpeace, Detox
ウエブサイト:http://www.greenpeace.org/

2012/12/20

  • ピックアップ記事