エコデザイナーインタビュー:ミカ・オーガニック Vol.6

mika organic
(Photo courtesy of Mika Organic)

絶滅危惧種の動物や自然界の生物を描いたグラフィックが素敵なミカ・オーガニック。
世界各国のグリーンファッションショップからオーダーが絶えない人気のサステナブルブランドですが、デザイナーのミカ・マチダさんは、実は日本からアメリカ・ニューヨークに移住した日本人。
キュートでほんわかした外見とはうらはらに、エチオピアの部族の村を訪問したり、ペルーのアマゾンを探検するなど、実はワイルドな行動派。
釣りや動物や自然を愛する、ピュアで熱いハートを持つミカさんに、エコデザイナーとしての思いからエチオピアやペルーでの体験まで、様々なお話を伺いました。

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Vo.5から続く

H&Mやウォルマートなど安価なブランドがオーガニック素材を取り入れていることはどう思いますか。

それが良いものであれば、買った人がオーガニックの存在に気付いてくれるので、良いことだと思います。
でも逆に、買ってみて良くないと思われたら、オーガニックの浸透を妨げてしまうと思います。

私が作る服は安くはありませんから、買ってみて良い経験ができなければ、安価なブランド以上に悪い影響を与えてしまうことになります。
だから、無責任に売ることはできないと思っています。
生産はニューヨークで行っていますが、生産者に対して彼らが必要な金額を払っていますし、私はボランティアでデザイナーをしているわけではありませんので、自分の利益分も足さなければなりません。そうすると、必然的に金額が高くなります。
私が服を作る目的は、売上を上げることや利益を得ることではありません。少量しか売れなくても、お客様に満足してもらえること、そして自分が楽しんでデザインすることです。
でも、もう少し多くの人に着てもらいたいと思うので、比較的安く生産できるTシャツなどを作っています。それでも、安価なブランドが出しているような値段で販売することは不可能です。

mika organic
(Photo courtesy of Mika Organic)

日本とアメリカのサステナビリティに対する違いは、どんなところにあると思いますか。

日本はアメリカと異なり、リサイクルに対する意識は高いと思います。モノを捨てるのにお金がかかることはとても良いと思います。
逆に、日本はアメリカ以上にモノが溢れているように感じます。消費が多いからそういう状況になるのだと思います。
日本はモノにこだわりがあるので、少しでも破れている服は絶対に着ませんが、アメリカの人は破れても直して着ますし、トレンドをそこまで追いません。
どちらも、安いものを大量に買う傾向があるのは良くないと思います。

これからサステナブルな生活をしようと思っている方にアドバイスを頂けますか。

モノを買うときに本当に必要かどうかを考えることが大切だと思います。
たとえば、素敵な靴に出会ったとき、既に10足の靴を持っているならば、本当に10足以上の靴が必要かを考える。そういう習慣をつけると良いのではないかと思います。
世の中には、本当は要らないものが溢れていると思うのです。

既に持っているモノがサステナブルでない場合は、どうすればよいと思いますか。

私は、エチオピアから帰ってきた後、必要ないと思った大量の服や皿や本を、スリフトショップに持って行ったり友達にあげたりしました。モノが減ったことで爽快感を感じました。
1ヶ月間のエチオピア旅行に持っていったモノは、バックパックひとつ分、服はたった3着です。それで生活ができるのに、家に帰ってきたらクローゼットいっぱいに服が溢れている。そんな状況をおかしいと感じたのです。

現在は、新しく購入するモノはほとんどがオーガニックです。エコデザイナーをサポートするという意味でもオーガニックな商品を購入しています。
服に関しては、自分が着たいものを作っているので自分のブランドの服でほぼ間に合ってしまいますが、最近は有難いことにたくさんオーダーを頂いて生産が追いつかない状況なので、自分がデザインした服なのに手に入れられないこともあります。

世の中のメーカーには、もう無駄なモノを作らないでほしいと思います。
たとえば、10個でいくらという価格設定はおかしいと思います。ひとつだけ欲しいのに余分に買わなければならないような状況を作り出すことは、間違っていると思います。
現代社会はシンプルに生きられない環境になってしまっていると思います。

貴重な体験談やご意見をたくさん共有して頂き、ありがとうございました。

2010/07/08

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