米大統領選、エコ派はどちら?Vol.2

Election-ObamaElection-McCain

***Vol.1の続き

続いて、海洋衛生について。

オバマ氏は、大統領として、健全な海洋環境を維持するために必要な、海洋スチュワードシッププログラムを開発する、と約束。
海洋保全は、2050年までに1990年レベルより80%温室効果ガス排出量削減計画を提唱した理由のひとつであると述べ、NASAやNOAA(米国海洋 大気庁)、NSF(国立科学財団)、USGS(米国地質調査所)と協力して、海や海洋生物が気候変動や酸性化に影響を与えていることの理解を深める必要が あり、アメリカを海洋責任と気候変動研究におけるリーダー的立場にすることを提唱。
さらに、米国が未だ批准していない「海洋法に関する国際連合条約」を批准するために尽力することを約束。

マケイン氏は、元海軍士官として、海の力、素晴らしさ、複雑さを認識していると述べ、米国全体で水質汚染管理・漁業管理をしていく必要性、海と気候変動の関連性に関する理解を深める必要性があることを言及。
海のないアリゾナ州知事だが、海洋に対する興味と感謝の気持ちがある、とも述べていますが、海洋問題における政策については、一切言及がありませんでした。

最後に水資源について。

オバマ氏は、浪費を防ぎ効果的な水利用に対して奨励を与えるような価格・政策設定がなされなくてはならず、農家や企業に対し、情報提供や教育、経済補助が必要になるだろうと言及し、水供給に苦しむ急成長地域を助ける国家計画を設立することを約束。

マケイン氏は、西部住人として西部経済の発展のために水が重要な役割を果たすことを理解していると述べ、水利用における州同士の建設的・継続的な協力と話し合いを支持することを言及。
水問題に関しても、自身の政策を述べることはありませんでした。

以上見てきたように、環境問題に関して、両氏は大きな認識・政策の差があるように思われます。
今は地球環境において、とても大事な時。
2009年からの4年間でアメリカがどのような政策をとるかによって、その後数十年の地球環境全体の方向性が決まっていくことになるかもしれません。
アメリカ国民がどのような決断を下すのか、注目したいところです。

以下、全14の質問事項を挙げておきます。
ご興味ある方は、英語原文をご覧下さい。

  1. 革新性
    (第二次世界停戦以降の米経済成長の半分は科学技術に依存していたが、最近の複数の調査報告によると、アメリカがこの分野でリーダーシップを取り続けられるかは疑わしいとされている。アメリカが、革新性において引き続き世界のリーダーで居続けるために、どのような政策を支持するか)
  2. 気候変動
    (地球の気候は変化しており、その地球上の生物に対する潜在的悪影響が懸念されている。世界的気候変動に取り組むために提案されている次の対策(キャップ&トレード、炭素税、燃料増加)に対してどう考えるか)
  3. エネルギー
    (多くの政策決定者や科学者たちが、エネルギーの安全性とサステナビリティが今世紀のアメリカが直面する主要な問題だと述べている。エネルギー需要を満たし、且つ経済・環境面でサステナブルな未来を保証するために、どのような政策を支持するか)
  4. 教育
    (15歳の学生の科学における平均点は、富裕国30か国中、米国は17位、数学は24位であった。21世紀に重要になる科学技術分野を、幼稚園から12年生までの学生に学習させるため、連邦政府はどのような役割を担うべきと考えるか)
  5. 国家安全保障
    (科学技術はかつてないほど重要な国家安全保障となっている。国家の安全を保障するために、科学技術はをどのように活用するのが最も良いと考えるか、また、我々はどこに焦点を当てるべきと考えるか)
  6. 流行病とバイオセキュリティ
    (H5N1型鳥インフルエンザは、流行病となり得、3億人が死に至るとの予測がある。継続的且つ短時間の国際旅行が可能な現代において、世界規模の流行病や故意の科学攻撃から国民を守るために、アメリカはどのような政策を講じるべきと考えるか)
  7. 遺伝学研究
    (遺伝子は人類の健康と栄養を改善する可能性を秘めている分野だが、多くの人がその遺伝子組み換えの人類と農業における影響を心配している。遺伝子学進歩のメリットと潜在リスクとの正しい政策バランスは何か)
  8. 幹細胞
    (肝細胞研究主唱者は、肝細胞は慢性疾患や傷を治し、命を救うと言うが、反対者は、肝細胞のもととして胚を使用することは人命を損なうことだと論じる。肝細胞研究における政府の規制と財政的支援に関してどのように考えるか)
  9. 海洋衛生
    (世界の漁業の75%が深刻な落ち込みを見せ、サンゴ礁のように世界中の海洋生物が深刻な危機に直面すると科学者は予測している。海洋衛生を守るため、あなたが大統領任期中に、アメリカはどのような対策を講じるべきと考えるか。)

  10. (次の10年間で39週が水不足に見舞われると予測され、科学調査によると、米国水資源の多くが危機的状況にあることをことを示唆している。水資源に対する需要を満たすために、どのような政策を支持するか)
  11. 宇宙
    (宇宙からの地球研究は気候変動に関する重要な情報を提供する。宇宙に焦点を当てることで全世界に関する理解を促進できる。人類による宇宙旅行は若い世代の科学への興味をかきたてる。我々はこれらすべてを実現する余裕はあるか。あなたの政権では、宇宙に対してどう優先順位を付けるか)
  12. 科学的一貫性
    (自身の政策・信念と専門家による科学的意見の相違が生じた場合、どう対応するか)
  13. 研究
    (連邦議会は長年、国家目標を実現するために、科学とエンジニアリングの研究の重要性を認識してきた。予算制約がある状況において、次期連邦議会は、次期予算案の中の基礎研究に対する投資において、どう優先順位を付けるか)
  14. 保健
    (健康保険の価格、質、利用可能性に関して国民が不安を抱く中、科学・研究・技術が、どのように健康とクオリティー・オブ・ライフを改良できると考えるか)

*上記日本語訳は、あくまでNYGF読者のご参考のため、掲載しております。正式な文章が必要な方は、以下英語原文をご確認下さい。

Science Debate 2008
ウエブサイト:http://www.sciencedebate2008.com/www/index.php?id=42


2008/09/23

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