FSC認証 (森林管理協議会)

FSC
(Photo: © Eric Goethals / FSC)

木材製品や紙製品に付けられている、FSC認証のマーク。
何の認証か、ご存知ですか。

FSCとは、Forest Stewardship Counsil(森林管理協議会)の略。
森林が適切に管理されていること、木材・紙製品がそうした森林の木材で作られていることを認証する国際機関です。

FSC認証マークがついている製品は、適切に管理された森林の木材で作られたことが証明されています。

FSCが設立される以前、真偽の不明な森林管理・認証団体が多数存在していました。
そこで、信頼できる世界共通の森林管理システムが必要と感じた、世界各国の木材事業関係者や環境・人権団体が、1990年に米カリフォルニアに集結。
3年間の議論の末、1993年にカナダのトロントで26カ国130名が参加し、正式にFSCが発足しました。
現在は、50ヶ国以上が参加しています。

FSCは、環境・社会・経済、3つの観点から、持続可能な森林の管理を目指しています。

  • 環境保全の観点で適切に管理:
    森林の生物多様性、生産性、生態学的プロセスを維持する。
     
  • 社会的な利益を生み出す管理:
    地域の人々に対し、森林資源を大切にし、長期的な視野で森林を管理する動機づけとなる。
    それにより、地域住民と世界中の人々が共に、森林から長期的な恩恵を得られる。
     
  • 経済的に成り立つ管理:
    森林資源や生態系、周辺地域の人々を犠牲にせず、十分な利益を生みだすよう運営すること。
    あらゆる木材製品・森林サービスを適正な価格で取引することで、責任ある森林管理と人々の利益欲求を共に実現できる。

******

そもそも、なぜ、このような森林管理システムが必要なのでしょう。

現在、年に1,300万ヘクタール(日本の国土の約34%)の森林が失われています(国際連合食糧農業機関)。
森林破壊は、世界的に深刻な問題なのです。

森林消失の原因はさまざまです。
木を伐採して農業や牧畜業に転用し、自家用あるいは地域の食用として野菜や家畜を育てることもあれば、先進国に輸出するためのパームオイル用ヤシや大豆、ゴム、コーヒーなどを栽培することもあります。
自家用の薪や炭、先進国向けの木材や紙パルプ用に、木材を伐採することもあります。
合法的に伐採されることもあれば、保護された森林ので違法伐採されることもあります。
また、森林火災や干ばつなど自然災害が原因の場合もあります。

森林消失による影響は甚大です。
重要な二酸化炭素吸収源である森林がなくなると、気候変動が加速します。
土壌内の水分や栄養素を保つ役割を担う森林がなくなると、土地は枯れ、砂漠化します。
地球上の生物の70-80%が棲息している森林がなくなると、生物多様性が保てなくなります。
深く根を張る木々がなくなると、地盤が緩み、地すべりや洪水が起こりやすくなります。

また、伐採作業に子供たちが駆り出され、学校に行けない児童が増えるという社会的な問題も生じています。

一度失われた森林は、簡単には元に戻りません。
伐採された跡地に木を植えれば森が再生する可能性はありますが、多くの場合、伐採前の豊かな環境に戻ることはありません。
過剰な伐採、有害な農薬・殺虫剤の使用、単一種の栽培などで不適切に管理されると、土壌は弱り、再生不可能になってしまいます。

森林は、その地域に住む人々や生物だけでなく、地球上のすべての人類・生物にとって、なくてはならない大切な存在です。
だからこそ、世界全体で適切に管理しなければならないのです。

明日の食糧を必要とする人々にとって、長期的で広い視野の下に森林を管理するのは難しいことです。
だからこそ、地元の人々に社会的・経済的メリットを生み出す形で森林を管理する必要があるのです。

森林の消失は、先進国に住む私たちにも大いに責任があります。
伐採された木材や、伐採跡地で栽培された作物は、主に先進国に輸出されます。
先進国の人々が必要以上に物を欲するために、森林が伐採されてしまうのです。
だからこそ、先進国に住む私たちは、必要以上に物を買わず、必要な場合は適切に管理された森林の木材を使ったFSC認証済の製品を購入しなければならないのです。

世界はすべて繋がっています。
私たちひとりひとりの小さな行動が、地球規模の大きな問題の解決に繋がります。
そして、その小さな貢献が、私たち自身と次世代の人々に幸せをもたらしてくれるのです。

Forest Stewardship Counsil
ウエブサイト:http://www.fsc.org/

日本森林管理協議会
ウエブサイト:http://www.forsta.or.jp/fsc/

2012/02/29 訂正
2008/07/23

  • ピックアップ記事