クリーンエア NY CleanAir NY

Clean Air NY

都市での暮らしは便利ですが、人が多く集まるため、大気汚染は付き物。

ニューヨーク市も例外ではなく、米環境保護庁により、地表オゾン濃度と粒子状物質による汚染度が国の基準を満たしていないと指摘されています。

地表オゾンとは、地表近くにあるオゾンのこと。
窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化鉱物(VOC)が光化学反応を起こすことにより、発生します。
成層圏にある太陽からの紫外線をカットする役割を担うオゾン層とは異なり、地表オゾンは濃度が高くなると光化学スモッグを引き起こし、大気を汚染します。
光化学スモッグは、咳、目や喉の炎症、呼吸困難、肺組織障害などの原因となります。
NOxやVOCは車の排気ガスに多く含まれ、VOCはペンキなどにも含まれています。

粒子状物質とは、超微小な固形粒子と液滴のこと。
ディーゼル車の排気ガスに含まれ、がん、アレルギー、気管支炎、喘息などの原因となります。

こうした大気汚染を防ぐため、ニューヨーク州運輸局が大気をきれいにするためのイニシアチブ、クリーンエアNYを設立。

クリーンエアNYでは、登録した個人や団体に対し、大気の状態を発信し、汚染度が高くなると「エアクオリティ・アクションデイ(大気品質改良のための行動を起こす日)」を設け、大気汚染の原因となる行動を控えるよう呼びかけています。

ニューヨーク州では、大気品質指標(AQI:Air Quality Index)を6段階に分けて設定し、分かりやすいよう色別にして、日々の指標を州環境保護局のサイトで公表しています。
クリーンエアNYは、この指標やその他環境保護局の調査に基づき、エアクオリティ・アクションデイを決定しています。

  1. Good(良い):0-50、緑
  2. Moderate(適度):51-100、黄色 
  3. Unhealthy for Sensitive Group(敏感な人には有害):101-150、オレンジ
  4. Unhealthy(有害):151-200、赤
  5. Very Unhealthy(とても有害):201-300、紫
  6. Hazardous(危険):301-500、茶

クリーンエアNYに参加したい個人や企業は、ウエブサイトでEメールアドレスと携帯電話番号を登録すると、エアクオリティ・アクションデイの日付や当日すべきことををメールやテキストメッセージで教えてくれます。
当日行うべき行動には、以下のようなものがあります。

  • 車の代わりに自転車や徒歩、公共交通機関を使う。
  • 車を使う場合は、相乗りする。
  • アイドリングを減らす。
  • 車のエアコン温度を上げる。
  • 不要な外出を減らす。
  • 企業は社員食堂を設け、昼食用の車外出を防ぐ。
  • 芝刈り機の使用を控える。
  • ペンキやスプレー缶の使用を控える。

大気汚染の主な原因は、車です。
現代社会では車はなくてはならないものですが、公共交通機関が発達している都市部では、車を使わずに生活することが可能です。
ただし、それを実現するか否かは、個人や企業の意志次第。

もし、ニューヨーク市内の10人に1人が、週に一度、車通勤から電車やバスに切り替えるか、家で仕事をすると、週に5,100トン分のオゾン先駆物質を防ぐことができます。

大気汚染を減らすための行動を起こしたくてもどうすればいいのかわからなかったり、つい面倒になってしまったり、というのはよくあること。
だからこそ、クリーンエアNYの働きかけに意味があるのです。
皆で一緒に大気汚染に取り組めば、行動を起こすモチベーションになります。
特に、企業や団体が率先して社員に行動を促せば、効果は絶大です。

眼には見えないけれども確実に人々の体を蝕む、大気汚染。
便利な生活を優先するか、自分や家族の健康を守るか、どちらを選択するかは私たち自身に委ねられているのです。

Clean Air NY
ウエブサイト: http://www.cleanairny.org/

2012/03/12 訂正
2008/08/05

  • ピックアップ記事