乾電池、環境への影響

Battery

屋外で電化製品を使う時、災害時などに欠かせない乾電池。
でも、乾電池には水銀や鉛などさまざまな有害物質が含まれているため、適切に処理しなければ環境を汚染することに。
それに、充電式電池ならともかく、使いきりの乾電池であれば、一回使っただけで廃棄しなければならず、環境への負荷は大きそう。
液漏れによる人体への影響も不安だし、可燃ゴミなのか不燃ゴミなのかもよくわからず、電池はなんだかわからないことがとっても多い。

ということで、電池について学んでみましょう。

まず、電池には大きく分けて、使い捨ての「一次電池」と充電式の「二次電池」があります。
一次電池には、単三単四などの筒状・四角形状の「乾電池」と、腕時計や小型家電に使用される丸い形状の「ボタン電池」があります。
一方、二次電池は、携帯電話やコードレス電話、カメラなどに使用されているもので、形状は色々。

乾電池、ボタン電池、充電式電池それぞれに、使用物質と構造によりいくつかの種類があります。
乾電池は、マンガン、アルカリ、ニッケル、リチウム、炭酸亜鉛電池、ボタン電池はアルカリ、酸化銀、亜鉛空気電池、充電式電池はニッケル、ニッケル・カドミウム(ニッカド)、リチウムイオン、小型シール鉛蓄電池、が主な種類。

では、これら電池の環境への影響はどうなのでしょう。
種類の名称からもわかるとおり、一次にせよ二次にせよ、電池には、水銀、鉛、カドミウム、ニッケルなどの有害物質が含まれています。
なかでも水銀は、埋立・焼却により土壌・海水・空気を汚染するなど環境への影響が大きいため、多くの国で一次電池での使用が禁止・規制されています。
日本では1991年にマンガン電池、1992年にアルカリ電池での使用が中止。
アメリカでは1996年の「水銀含有充電式電池法(Mercury-Containing and Rechargeable Battery Act)」により、次のように定められました。
・水銀を含むアルカリ・マンガン(25mg以下の水銀含有量のボタン電池を除く)、炭酸亜鉛、酸化水銀ボタン電池の販売を禁止
・それ以外の酸化水銀電池は適切な回収システムが確立されていない限り販売禁止
一方、二次電池では、現在でも水銀の使用は禁止されてはいないようです。恐らく、二次電池は繰り返し使用でき、リサイクル法も進められているからなのでしょう。

水銀以外の物質に関しては、今のところ各国とも特別な規制はないようです。
「使用済み乾電池の取り扱いに関する日欧米三極電池専門家会議」という日欧米間の三者協議によれば、家庭用一次電池は、水銀以外は環境に深刻な被害を及ぼすほどのものではない、と考えられているようです。
正式な調査はなされていないようなので真偽の程はわかりませんが、同会議によると、廃棄処分するより回収・リサイクルする際に消費するエネルギー量が環境への負荷が高い可能性もある、と考えられている模様。よって、家庭用一次電池は、各国とも焼却・埋立されているのが現状のようです。

二次電池に関しては、各国でリサイクルが促進されています。
アメリカでは、前述の「水銀含有充電式電池法」で、ニッカド、小型シール鉛蓄電池における適切なラベル表示、リサイクル、適切な処分に関する規制が定められています。
ふたつの種類に限定しているのは、両者が発がん性物質であるカドミウムなど有害な重金属を多く含んでいるため、適切に処分しなければ、土壌・海水・空気を通して人体にも影響を及ぼす危険があるから、だそう。他の種類の充電池に関しては、規制を強制しないとされています。
二電池の規制の程度は各州法に委ねられるため、全米中でリサイクルが義務付けられているわけではありませんが、カリフォルニア州ではすべての種類の電池のリサイクルが義務付けられるなど、州によっては厳格な規制を設けているところも。
政府だけではなく、家電小売、食品スーパーなどの企業も、一次・二次電池共に回収ボックスを設置し、自主的に回収運動を行っています。

日本では、「資源の有効な利用の促進に関する法律」により小型充電式電池(ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、小型シール鉛蓄電池)の回収・リサイクルが義務付けられています。とはいえ、あくまで消費者が協力小売店が設置しているリサイクルボックスに持っていくことを前提としているため、実態は努力義務に留まっているものと思われます。

各国政府の見解・取組みは以上のようになっていますが、では、私たち一般消費者はどうすればよいのでしょう。

充電式ニッカドはリサイクルするけど、アルカリ一次は不燃ごみ、なんて種類ごとに分けて考えるのは、専門家じゃない限りほぼ不可能ですよね。
なので、とにかく、できる限り使い捨て電池は使わない、使った電池はリサイクル!

繰り返し使用可能な二次電池に比べ、一次電池は使い捨てのため廃棄される量が多くなりますから、乾電池であっても充電式のものを使うこと。
乾電池でもコンピュータや携帯電話などに組み込まれている電池でも、充電式電池はゴミに出さず、リサイクルを行っている小売店や団体を見つけ、リサイクルすること。
一次電池でも、リサイクルや回収を行っている企業や団体があれば、ぜひそこに持って行く。

ひとりひとりの小さな努力が大きな環境保護につながります。
たかが電池、されど電池。小さなことでも面倒がらず、プチ環境対策。
良いことすると、その日一日なんだか良い気持ちになれるはず。
地球のため、未来の子供たちのため、とにかく行動に移すのみ!

社団法人 電池工業会
ウエブサイト:http://www.baj.or.jp/

US Environmental Protection Agency
ウエブサイト:http://www.epa.gov/

2009/03/10

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