「ピークオイル」ならぬ「ピークカーテン」?
イケア、家具生産はピークを迎えたと発言

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(Photo by jebb)

世界最大の家具小売企業、イケア。

同社のサステナビリティ担当最高経営者スティーブ・ハワード氏が、英ガーディアン紙のイベントで、西洋社会において家具の生産はピークを迎えたと発言し、話題を呼んでいます。

「西洋社会において、私たちは恐らくモノのピークに達しています。ピークオイルはよく話題に挙がりますが、赤身肉、砂糖、モノ全般、そして家具においてもピークに達しています。言ってみれば"ピークカーテン"です。」(ガーディアン)

イケアは、あまり質の高くない家具を安く販売している、いわば"ファスト・ファニチャー"ともいうべき企業。その企業の経営者がこのような発言をしたのですから、多くのメディアが驚きをもって報じました。

ところが、この発言には続きがあります。

「しかし、世界規模で見れば、多くの人々はいまだ貧しく、満たされてすらいません。よって、世界的に成長機会はあり、経済成長する必要があります。分配の問題なのです。」

もちろん、イケアが貧しく食べるものすら満足にない途上国の人々に家具を提供しているわけではありませんし、同社が事業をやめるわけでも成長を緩めるわけでもありません。西洋社会ではモノがピークに達しているのだから、より環境・社会的負荷の低い持続可能な方法で事業を行う必要がある、ということを言わんとしているのです。

H&Mなどと同様に、環境・社会負荷の高いファスト・ファニチャー企業だからこそ、同社は環境・社会問題に熱心に取り組んでいます。

たとえば、持続可能な方法で栽培・伐採した木材の使用率は現時点で50%を達成済で、2020年までに100%にすることを約束しています。
コットンに関しては、オーガニックではないものの、農薬や水使用量を削減した持続可能なコットンの使用率100%を達成済。
エネルギーに関しては、2020年までに再生可能エネルギー100%を約束し、現在までに50%以上を達成しています。

さらに昨今は、自社製品を回収・修理して再販する試みや、自社・他社問わずプラスチック製の家具を回収して再生するなど、使い捨て社会から循環型社会への転換を図っています。

どんなに注意深く事業を行っても、経済活動を行う以上、環境・社会負荷をゼロにすることはできないのですから、できる限り負荷を減らしていくしかありません。

「ピークカーテン」に達していることを認識して負荷削減努力を続ける企業と、その事実を認めずにひたすら売上増加に向けて邁進する企業、どちらを選ぶかは私たち次第です。

IKEA
ウエブサイト:http://www.ikea.com/

2016/01/29

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